ピクスタによる、障害者が働いているシーンの撮影会=1月、東京都内(同社提供)
画像や音楽などデジタル素材のオンラインマーケットを運営するピクスタは、身体障害者が働く写真素材を3月から販売する。2018年4月に企業の障害者法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられたほか、精神障害者雇用も義務化された。企業の求人広告に写真素材を活用してもらうことで、採用活動を後押しする狙いだ。
障害者の写真素材では、「企業でいきいきと働く若い身体障害者の無料の素材がほとんどない」(同社)という。
そこで同社は、障害者や高齢者の社会参加を支援するミライロ(大阪市淀川区)の監修を得て、身体障害者の写真素材の製作に乗り出した。
ピクスタに登録しているカメラマンを対象に、障害者に対する正しい知識の理解を目的にした研修会を、18年12月に都内で実施。約40人が参加し、ミライロの担当者が「車いすに座っている人に話しかけるときは、しゃがんで目線を合わせる」などとアドバイスした。
19年1月12日には都内で撮影会を開催。一般の障害者のモデルを起用することも検討したが、「障害者に限らず一般の人にとって、自分の知らないところで写真素材がどう活用されるのか分からない、という不安が大きい」(同社)ことから、ピクスタに登録されている約100人のモデルの中から8人が参加した。 とはいえ全員健常者であるため、障害者からみて不自然なポーズになっていないかなど、ミライロの担当者の助言を得ながら撮影を進めた。
モデルを務めた30代の女性は、「車いすの扱いや正しい乗り方を意識しつつ、明るい表情を写真にするのがいつもの撮影よりも大変だった」と話した。
車いすの写真といっても気を使う必要がある。例えば、車輪の小さな介助用車いすを自走するような画像は、障害者からみたらあり得ない画像となり、「この会社で働いても大丈夫なのか」と不安に感じるケースも少なくないからだ。
既にピクスタやミライロには、障害者雇用に積極的な企業からの問い合わせが入り始めている。
ピクスタの担当者は、「若い障害者が働く写真素材が広く使われることで、障害者の社会参加を後押しできたら」と話す。
「フジサンケイビジネスアイ」