創建会長・吉村孝文さん(69)
--自然災害などで倒壊した神社を毎年一社、無償で建て直して寄贈するプロジェクトを始めた
「当社は大阪に本社を置く住宅メーカーだが、2015年に北海道にある石山神社の建て替えを、これまでの相場に比べて驚くほどの低予算、短工期で実現した。初めての神社仏閣建築だったが、地元の皆さんに大変感謝され、さらに『神様の住む家』の建築に携わり大きな達成感があった。寄贈プロジェクトは、神社の建て替え事業を通じて社会貢献するとともに、優れた技術を持つ当社グループの認知度を高める狙いがある。第1弾として熊本地震で被災した白山姫神社(熊本県西原村)社殿を今月引き渡した」
--なぜ、神社仏閣建築ができるようになったのか
「世界で唯一、宮大工の技をプレカットで作れる工場を持つ北海道の住宅会社『木の城たいせつ』を傘下に収めたためだ。同社は金具をほとんど使わない木組み工法の住宅を手掛けていたが、リーマン・ショックで破綻。しかし、この技術をなくすのは日本の大きな損失になると考え、救済した経緯がある」
--今後の計画は
「木組み工法を利用した家づくりを全国に広める計画だ。来年中にモデルルームを複数戸建設し、フランチャイズ展開に乗り出す。軌道に乗れば、プレカット工場を北海道以外にも建設する方針だ。木組み工法は地震に強く被害を大幅に減らせ、政府が推進する『国土強靭(きょうじん)化』にも貢献できる」
--日本の伝統建築の復権といえそうだ
「それだけではない。創建の住宅は外断熱を標準装備し、『家ドック』と呼ばれる月1000円の維持管理サービスも手掛けている。こうした新装備、新サービスと組み合わせて新時代の住宅を作り上げていきたい」
【プロフィル】
吉村孝文
よしむら・たかふみ 広島県立三次工業高校卒。旭電化工業入社。東京建築専門学校卒。大拓を経て1983年創建企画(現創建)を創業し、社長。2015年9月から現職。広島県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」