オービットブイユージャパンの鳴海千尋社長
撮影の自動化「フォトオートメーション」を推進する事業を展開するアポロクリエイトホールディングス(東京都品川区)傘下のオービットブイユージャパンは今春、自動撮影システムの世界トップ企業、ORBITVU(オービットブイユー、ポーランド)の「アルファシリーズ」の販売に乗り出した。電子商取引(EC)ビジネスにとって欠かせない商品撮影ではプロカメラマン並みの能力を発揮するほか、高度な専門スキルを必要とする画像編集も簡単にこなす。鳴海千尋社長は「商品力は他社製より圧倒的に強く、自信を持って薦められる」といい、今年度の売り上げ目標を前年度比約7割増の6億円に設定した。
--強気の目標を掲げる理由は
「これまでプロカメラマンに外注して専用スタジオで撮影した作業が、社内のパートやアルバイトでも対応できるのが魅力で、画像の品質や処理速度の速さを知った顧客の反応が今までと違う。色の再現性は太陽光の元での撮影と同レベルで、『本物と変わらない』と驚く。照明は写真スタジオのような高出力の照明システムで、6つの独立したLEDパネルは専用ソフトでコントロール、ノイズのないシャープな色合いの商品画像を撮影できる。品質重視の顧客からはその場で『欲しい』といわれるほどだ」
--編集作業も簡単という
「ECサイトに商品を掲載するには背景を切り抜きしなければならず、特に透明なプラスチックやガラス製の商品を輪郭に沿って処理するには大変な労力が必要だった。リサイズや背景の変更も可能だ。こうした撮影後の編集作業が専用ソフトで繊細なレベルまで補正できるので手間もコストもかからない。人の手を使うと10~20分かかる切り抜き作業はわずか4秒で終わる」
--ECビジネスの課題が解決できる
「商品画像がなければECサイトに掲載できないが、プロカメラマンに撮影を頼み、編集作業は専任者に任せるようではサイト掲載に1週間もかかってしまう。アルファシリーズを使えば10分ぐらいで載せられる。ECビジネスは『早い物勝ち』の世界でもあり、商品撮影から掲載までのタイムロスを生じさせないので販売機会もそれだけ多くなる。一連の工程の自動化、素人でもプロ並みの撮影が可能になるので時短、コスト削減、働き方改革、人材不足を一挙に解決できる」
--勝算は
「このフォトオートメーション事業は昨年度まで、グループ会社のアポロクリエイトが米ベンチャー、オートリーの『フォトシミリ』で展開、400社を超える販売実績を残している。売り上げも昨年度は3億6000万円と前年度より1億円増加した。しかし、それ以上の上乗せには限界を感じたことからオービットブイユーに切り替えた。初年度となる今年度は6億円、3年後には10億円の売り上げを目指す」
--今後の展開は
「EC企業は国内で16万5000社あるといわれ、そのうち、われわれのターゲットとなる物販を営むのは半数の約8万社。この10%にあたる8000社を顧客として取りたい。製品の平均価格は約200万円なので市場規模は160億円。10億円は十分に達成可能だ。そのために大阪支店を17年1月に開設し、同4月に福岡、18年3月に名古屋にショールームをオープン。顧客を地方にも広げるとともに、大企業からも注目されるようになった。これからが楽しみだ」
【プロフィル】
鳴海千尋 なるみ・ちひろ
弘前大理学部卒。1977年NBC(現日立システムズ)入社。80年リコー。2003年アポロクリエイト設立し社長。18年オービットブイユージャパン買収し社長。63歳。北海道出身。
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【会社概要】
オービットブイユージャパン
▽本社=東京都品川区西五反田7-22-17 TOCビル8階
▽設立=2017年11月
▽資本金=510万円
▽従業員数=16人
▽事業内容=商品自動撮影システムの販売
「フジサンケイビジネスアイ」