Brushupの機能を説明する水谷好孝社長
■教育現場で活用、ユーザー拡大
イラストや動画のレビューを複数のユーザーで行えるクラウドサービス「Brushup」の導入企業数が着実に増えている。ソフトウエア開発のフェンリル(大阪市北区)が、導入企業が1000社を突破したのを機に事業を分社化。昨年2月に新会社「Brushup」を設立して事業を拡大し、累計2000社を突破した。働き方改革への取り組みが進み作業効率の向上が求められているのを背景に、2020年までに10万社へと拡大する計画だ。
「IT文化が進展しているのに変わっていない」とBrushupの水谷好孝社長が指摘するように、メールなどを通じたファイルのやりとりはファイルのダウンロードが前提。時間がかかり、「ファイルに対応したソフトを持っていなくて開けない」といった課題がある。ファイルが埋もれてしまったり、ファイルを開いた後に行う修正場所の指摘についても、手間がかかるのが現状だ。
Brushupは、イラストレーターとの間で電話やメールを通じ、膨大な数のやりとりを強いられるスマートフォンゲームの開発会社からの要請を踏まえ開発した。ダウンロードが省略されブラウザ上でイラストや写真、動画、ドキュメントに手描きやコメントで変更点を指摘し合いながら、そのまま確認できるため、円滑に意思疎通を行える点が特徴だ。
当初はゲームデザインやウェブサイトの制作で利用が多かったが、カタログ制作やCM動画の作成を外部に発注する企業の利用が増えるなど、ユーザー層は多岐にわたっている。文字だけのフィードバックに比べて生産性が向上。指示メールの量や残業時間の減少につながるケースが相次いでいるという。
教育の現場でも有効活用されている。例えば英語の音読。先生はこれまで、USBメモリーに録音されたものをチェックしていたが、Brushupでは先生は撮影された動画を見て、「棒読みになっているよ」などと文字で指示を行える。生徒はどこがよく、どこが悪かったのかを効率よく把握できる。
面接やプレゼンテーションの練習にもなる。動画を蓄積できるので、「『この部分が成長している』といったことを理解できるようになるため、“生”の教科書になる」と水谷社長は指摘する。運動でも有効に活用できることから、20年までに学生だけで100万人のユーザー獲得を目指す。
【会社概要】
フェンリル
▽本社=大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーB 14階
▽設立=2017年2月
▽資本金=5000万円
▽社員数=8人
▽事業内容=レビューツール「Brushup」の提供
「フジサンケイビジネスアイ」