「スマート農業アライアンス」について説明するオプティムの菅谷俊二社長=東京都港
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連の保守サービスを手がけるオプティムは、ドローンやIoT、AI、ビッグデータを活用した新たな農業に生産者とともに取り組む「スマート農業アライアンス」を立ち上げた。同社は、スマート農業に必要な機器類を無償で生産者に提供する一方、収穫した作物を全量買い取ることで、生産者がスマート農業に参加しやすくした。
同アライアンスは、高付加価値農産物の生産、流通、販売を目指す。ドローンで上空から農地を撮影し、画像から害虫の生息場所を自動で判定。害虫がいる場所にだけドローンを使って農薬を散布する。
アライアンスでは、(1)農業生産者が実際にスマート農業に取り組む「スマートアグリフードプロジェクト」(2)主にITやハードウエアベンチャーなどがスマート農業に役立つ機器の開発などに取り組む「スマートデバイスプロジェクト」(3)金融機関や自治体、大学などを対象にスマート農業の普及や支援を行う「その他プロジェクト」-の3つの部会を設け、産学官連携で取り組めるようにした。
スマートアグリフードプロジェクトでは、大豆やコメ、タマネギなどの冬野菜を対象に、生産者をオプティムのホームページで募る。
大豆は栽培面積が1ヘクタール以上、コメは5ヘクタール以上で、ドローンを自ら操作し土壌検査や残留農薬の調査に協力できることなどが条件。冬野菜はまず、ドローンを使った低農薬農法が有効かどうかを検証する。応募締め切りは大豆とコメが3月31日、冬野菜は1月31日。
アライアンス設立に先立ち、昨年、ドローンを使った大豆の低農薬栽培実験を佐賀県内で実施し、農薬散布量を従来の10分の1まで減らした。佐賀大学農学部などで検査したところ、農薬は未検出だった。
収穫した大豆は「スマートえだまめ」のブランドを付け、福岡市内のデパートで通常価格の約3倍に当たる100グラム200円で販売したところ、2日間で完売した。
オプティムの菅谷俊二社長は、都内で開かれた記者発表会で「従来のIT農業はシステム開発会社が高額なシステムを農家に販売するだけ。スマート農業普及には、われわれがリスクを取って生産者を支援し、収益を分配するビジネスモデルが必要だと判断した」と語った。
オプティムはコメの栽培でも、ソフトバンクとともに2017年12月から北海道帯広市で、スマート農業技術開発を目的とした実験に取り組んでいる。