オープンイノベーション後押し

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開所式に臨んだ森トラストの伊達美和子社長(右)とCrewwの伊地知天社長=東京都港区

■森トラストとCreww 東京・虎ノ門に新ビジネス拠点

不動産開発の森トラストと起業支援のCreww(クルー、東京都目黒区)は30日、企業のオープンイノベーションを支える新たなビジネス拠点「dock-Toranomon(ドック・トラノモン)」を開設した。森トラストが場所とインターネット環境などを用意し、Crewwが起業支援に精通した「コミュニティマネージャー」3人を常駐させる。多様な分野の人が集まることで、新たに生まれるアイデアを基にした新事業創出を後押しする。

◆来春まで5カ所開設

東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩4、5分ほどの城山トラストタワー4階の一部、約776平方メートルのスペースに、166席分の自由席型コワーキングスペースのほか、契約企業向けに個室タイプのプライベートオフィスが15室と会議室6室を整えた。

プライベートオフィスにはすでに4社から申し込みが入り、「コワーキングスペース利用も含めると約20社から問い合わせが来ている」(Crewwの広報担当者)。最終的には100社400人の利用を見込む。Crewwによると、今回の「dock-Toranomon」を皮切りに、来春までに都内を中心に5カ所の拠点開設を計画している。

森トラストという大企業と、創業5年ほどのCrewwが協業したのはある出会いだった。

森トラストの伊達美和子社長は1月、都内で開かれた経済団体のパーティーに出席。テーブルが同じだった、M&Aコンサルティングを手がけるピナクルの安田育生会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)から「面白い人がいる」とCrewwの伊地知天社長を紹介された。

伊達社長はすぐに伊地知社長と連絡を取る。伊達社長は昨年、実父から社長を受け継ぎ、「未来に向けて何かをしたい」と考えていた。それは、「森トラストの持つ経営資源を使い、新規事業を次々と生み出すベンチャーエコシステム構築の担い手になる」ことだ。

ただ、不動産業やホテルチェーン運営のノウハウはあっても、ベンチャー企業を育てた経験はない。起業支援のCrewwの存在は、伊達社長にとても魅力的に映った。

◆同じ志・時間・場所

4月下旬、東京都港区の虎ノ門ヒルズで開かれたCrewwの起業支援イベントに伊達社長の姿があった。そこでCrewwの起業支援にかける伊地知社長の思いを知る。

伊地知社長は16歳のときに単身渡米。その後日本で2社、米国とフィリピンで1社ずつ起業している。日本で数少ないシリアルアントレプレナー(連続起業家)の一人。2012年にCrewwを創業したとき、本社はシェアオフィスだった。伊地知社長は「多くの起業家との交流があり、さまざまなアイデアが生まれたり消えたりしながら、一つのコミュニティーとして機能していた」と話す。

「同じ志を持つものが同じ時間と場所を共有できる環境がベンチャーには必要。ノウハウを共有できれば、もっと速く事業が成長する」と考えていた。

ちょうど、森トラストとCrewwのトップの思いがうまくかみ合った。両社による具体的な協議が始まったのは今年5月に入ってから。拠点のコンセプトや中身は走りながら考えた。

「ベンチャーと大企業とがつながる新しい場にしたい」と語る伊達社長。ベンチャーとの協業で起業支援という新たな事業に進出し、日本経済の新陳代謝を促す。

「フジサンケイビジネスアイ」

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