1つの業務を複数のパート・アルバイトが担う「ジョブシェアリング」による介護。普及により人手不足の解消を目指す
美容・ヘルスケア業界に特化した求人メディアを運営するリジョブ(東京都新宿区)は介護施設向けに、1つの業務を複数のパートやアルバイトが担う働き方である「ジョブシェアリング」の普及を促進するため専用サイトを立ち上げた。入浴介助、食事の配膳(はいぜん)、清掃など業務ごとに担当を分けることで、これまで他の業界に流れていた求職者を呼び込み、介護業界の人手不足を解消する。2022年にはデイサービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など約6万事業所のうち、約1万事業所での利用を計画している。
一般的に介護業界は日勤、夜勤、早番、遅番といった時間勤務に基づく働き方で、入浴、食事、レクリエーションなど、複数の業務を1人の職員が担当している。業務が多岐にわたり体力的な負担も大きいことから、介護職は求職者から敬遠されているのが現状だ。同社では育児を終えた主婦や健康な高齢者などを、パートタイマーやアルバイトとして活用することで、新たな介護人材として掘り起こそうとしている。
このため送迎、入浴介助、昼食介助、レクリエーションなど、それぞれの業務を分担して担当することで多様な人材を確保する。例えば配膳、かたづけを含む食事介助は、飲食店のホールスタッフの業務とほぼ同じであるため、飲食店への求職者が「自宅に近い」「勤務希望時間帯と一致する」といった理由によって応募することが考えられる。
具体的には介護向けジョブシェアリング専門サイト「リジョブシェアリング」と、介護業界向けサイト「リジョブ介護」にも掲載されるほか、同社の完全親会社「じげん」が運営するアルバイト専門サイト「アルバイトEX」とも連携することで、他業界に流れていた求職者を複数のメディアを通じて介護業界に呼び込む。
鈴木一平社長は、ジョブシェアリング導入の効果について「多様な人材が気軽に介護の仕事を担えるようになる。それとともに介護職員はより専門的で難易度の高い業務に従事できるので、職業的地位も向上するだろう」と話している。
「フジサンケイビジネスアイ」