オフィス内での英語の授業=東京都港区
通訳や翻訳サービスを展開するテンナイン・コミュニケーション(東京都港区)の「オフィス内英語学校」が注目されている。企業へ英語講師を派遣し、受講する社員は就労時間内に自由に学べる。
通訳を派遣していた大手企業から「社員の英語力を向上させたい。社内で教えてもらえるような仕組みはできないか」と要望を受けたことが、サービス開始のきっかけだった。工藤浩美社長(54)は「2020年の東京五輪に向けて、福利厚生に組み込んで社員の語学力向上に努める企業がある」と指摘する。
企業の会議室などを借りて就労時間内に授業をするのが最大の特徴だ。出勤前や退社後に教室に通う煩わしさをなくし、気軽に勉強できる環境をつくるようにした。通訳や翻訳に関するノウハウを生かした独自の教材と、英語を母国語とする講師の派遣も強みになっている。
テンナイン・コミュニケーションの工藤浩美社長
工藤社長は「顧客が求める実際の営業会議を想定した授業や、社員の個別能力に合わせたクラス分けもしている」と強調する。
現在は、製造業やIT企業などと契約し、延べ約5000人が受講した。利用した企業からは「社内にあるので出席率がよく、英語力が向上しやすい」と評価を受ける。受講した社員からは「授業以外でも、講師からは取引先とのメールや電話でのやりとりなど実践的なアドバイスが受けられる」という。
工藤社長は「海外進出に限らず、企業間の買収や提携によって上司が外国人となり、社内で語学力が問われる機会が増えている」と指摘、さらに多くの企業へのサービス展開を目指す。
「フジサンケイビジネスアイ」