母親目線で子供の快適空間作り

乃村工藝社 掲載日:2017年5月29日

チームMメンバーによる打ち合わせ。左端が専任デザイナーの松本麻里さん
チームMメンバーによる打ち合わせ。左端が専任デザイナーの松本麻里さん

■理想的な保育施設提案など取り組み

 子供が安心して過ごせ、見守る母親にも心地よい空間づくりを、育児の経験と気づきから提案するユニークな組織がある。空間創造のリーディングカンパニー、乃村工藝社が社内公募で立ち上げた「Team(チーム)M」で、育児休暇から復帰した女性社員が母親目線でデザインに生かしている。こうした活躍は女性の活躍促進にふさわしいとして、キッズデザイン賞に2015年度に新設された「男女共同参画担当大臣賞」の初代作品にチームMが選ばれた。

作品名もズバリ、「ノムラのソーシャルマーケティングへの取り組み〈チームM〉」。子連れで外出しやすい空間や理想的な保育施設の提案などが社会有用性の高い取り組みと認められた。また育児経験を本業に生かすことで子育て環境の細かいニーズに応えるとともに、この活動の成果として同社では育休後の職場復帰率が高いことも受賞につながった。

この取り組みが進化する格好で、「子どもとすごす空間を快適にするためのデザインハンドブック基礎編」を発行した。空間づくりと育児経験を併せ持つデザイナーらが子供の行動特性や身体寸法、年齢別身体能力、公共の場での事故事例などの情報を集約し、空間設計に役立てている。

リーフレットにしてイラスト付きでデータをオープン化しており、まさにデザイナー向け参考書といえる。16年度のキッズデザイン賞に選ばれたが、審査委員は「業界スタンダードにしていけばさらに有効なものになる」と評価した。

◆区分けで安全に遊ぶ

 チームMは14年、デザイナーや営業、施工、人事など部署横断的に集められた育児中の女性社員5人で結成された。全社員から新規事業のアイデアを募る社内コンテスト「フューチャーアワード」が始まった13年に、「育休明けの女性社員の知見を空間づくりに生かす」というテーマでエントリーしグランプリを受賞。こうしてチームが編成された。

育児経験から見えてきた気づきは乃村がつくる空間デザインの随所に現れる。

16年4月にオープンした大型ショッピングセンター、セブンパークアリオ柏(千葉県柏市)内にあるキッズスペース「スカイキッズ」は、地域の子供たちがいつでも安全・安心に遊ぶことができるようにいくつかのゾーンに分かれている。

開発本部チームM専任デザイナーの松本麻里さんは「大きな子供が走り回っている場所に、ベビーカーに乗せている小さな子供を降ろすのは危なくてできない。きちんと区分けすることで親子がくつろげるスペースを確保した」と説明する。母親としての経験が「安全に遊ぶには区分け」という解決策をもたらした。

ウェザーニューズが15年に千葉・幕張テクノガーデンに開設した企業内保育園「WNIレインキッズハウス」も、チームMのメンバーが通っている保育園での経験を生かした。アドバイザリースタッフとして参加し、小学6年生まで受け入れる学童スクールを併設する異年齢保育に対応できる効率的な機能整備を提案し要請に応えた。

◆高齢者などにも適応

チームMの存在感は社内でもますます高まっている。松本さんは「最近はキッズコーナー設置といった案件が増えており、対応の仕方がよく分からないデザイナーから相談を受けるようになった。育児経験の共有などを提案すると素直に受け入れてくれる」と喜ぶ。その上で、結成から4年を迎えたチームMについて「子供と過ごす快適な空間づくりの専門家集団として第2フェーズに入る。育休明けの女性だけでなく男女関係なく知見を持つ人、専門家になりたい人などでチームを再編成する」と松本さんは意気込む。

子供と過ごす空間づくりの経験は高齢社会にも生きると考えているからだ。松本さんは「例えばベビーカーでの経験は車いす社会でもアプローチできる。これまでの知見を生かして(多様性を意味する)インクルーシブ的に取り組みたい。ビジネスとして成り立つ」と強調、母親目線を子供だけでなく、高齢者や障害者にも注ぐ考えだ。(キッズデザイン取材班)

「フジサンケイビジネスアイ」

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