遠隔操作ロボ「オリヒメ」 難病者、ビジネス向けに進化

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視線入力、一時離席機能など搭載

ロボット開発ベンチャー、オリィ研究所のロボット「OriHime(オリヒメ)」がこの1年で大きな進化を遂げている。難病者向けに操作性を向上させた機種、ビジネス用途に特化した機種を相次いで投入。遠く離れた家族や友人と同じ空間を共有したいというニーズに応えている。


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オリィ研究所が開発した小型分身ロボット「OriHime」(同社提供)

2015年7月に登場したOriHimeは「存在感の伝達」をコンセプトとした遠隔操作ロボット。高さは21.5センチ、幅は約15センチ、奥行き約23センチで重さは約590グラム。頭部にカメラとマイク、胸部にスピーカーが内蔵されており、うなずいたり、腕を動かしながらコミュニケーションを図る。

16年7月に投入したOriHimeの新バージョンは、視線入力装置に対応した「OriHime eyeソフトウエア」を搭載した。発声のできないALS(筋委縮性側索硬化症)などの難病患者でも介助者なしに簡単に操作できるようにした。新バージョンはすでに100台を生産し、レンタル用として提供している。また来年7月までに500台の製造を計画している。

9月に投入された「OriHimeBiz(オリヒメビズ)」には、スケジューリング機能や一時ミュート(停止)機能、一時離席機能などを搭載。主に在宅勤務や出張時の留守などでの利用を想定している。実際にNTT東日本では、子育て中の社員が在宅勤務時にこのロボットを使って、オフィスにいる社員と共同で日々の業務にあたっている。

もともと体が弱かったため、10代前半を不登校で過ごした吉藤健太朗社長。「1週間も誰とも話さない日が続くと、本当に言葉や笑い方を忘れてしまう」と話す。高校在学中に新機構の「傾かない、倒れない車椅子」を開発するなど、ものづくりへの強い関心があった。その後、人工知能(AI)の研究に取り組むも、「孤独による不安や寂しさを解消するにはやはりロボットしかない」と考え、オリィ研究所を立ち上げた。

今年4月、独立系ベンチャーキャピタル(VC)のビヨンド・ネクスト・ベンチャーズ(東京都千代田区)が運用するファンド(基金)と、起業支援のリバネス(同新宿区)などによるファンド、8人の個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、2億2977万円を調達した。

OriHimeはスマートフォンや携帯情報端末からインターネット経由で動かすが、吉藤社長は「パソコンなしでも動かせるような一体型など、利用シーンに合わせた新型機の開発に力を入れたい」としている。

                   ◇

【会社概要】オリィ研究所

▽本社=東京都三鷹市下連雀3-3-50 パークファミリア 501

▽設立=2012年9月28日

▽資本金=1億3982万円

▽従業員=7人

▽事業内容=コミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」の開発販売

「フジサンケイビジネスアイ」

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