小型無人機「ドローン」関連サービスのテラドローン(東京都渋谷区)は、機体の運航管理システムであるUTM事業に参入した。同事業で世界的なリーディングカンパニー、ベルギーのユニフライに約5億円を出資して筆頭株主となり、同社と連携しながら開発を進め、1年以内の本格サービス開始を目指す。
「世界のドローン産業のプラットフォームを構築したい」と語るテラドローンの徳重徹社長
テラドローンの徳重徹社長は「日本のドローンは、農薬散布などの分野で先行しているが、UTMは欧米に比べ遅れている」と指摘した上で、「世界のドローン産業のプラットフォームを構築していきたい」と話している。
国内でもドローンの活用はさまざまな分野で進んでいるものの、実際には土木測量など人間の視界内で対応可能な業務に限られる。飛行規制や安全性に配慮した運航管理の仕組みがまだまだ十分でない点が理由だ。
このため約5年前からUTMサービスを提供し、欧州を中心に実績を残しているユニフライと組むことを決めた。
UTMはリアルタイムに無人機の位置情報を把握し、複数のドローンの安全な飛行を支援するシステム。重要施設など飛行禁止区域やユーザーに設定されたエリア内への進入禁止、指定エリア内での運航、衝突防止、緊急時の停止・自動帰還などが実現できるようになる。
実用化を目指し、今後は実証実験を積極的に実施。また、広範囲に活用できる電波や地図情報などを組み合わせることによって、より精度の高いサービスにつなげる。一連の取り組みで2020年までに目視外のエリアでも正確な飛行を可能にする目標を掲げる。さらにアジアでの事業化も視野に入れている。
テラドローンは今年3月、親会社で電動バイクベンチャーのテラモーターズ(同)が設立し、測量サービスを中心に事業を展開している。大手ゼネコン(総合建設会社)と相次いで提携するなど「土木分野では圧倒的な首位の座に就いている」(徳重社長)という。このほか測量・計測機器のレンタル大手、レックス(兵庫県西宮市)と提携し、サービスの全国展開を推進。一方で農薬散布用の機体開発も手掛けている。
「フジサンケイビジネスアイ」