補聴器大手のリオンが7月発売した高度・重度の難聴の子供向け補聴器「リオネットピクシー」は、従来機種に比べ大幅な小型化・軽量化に成功。運動しても外れにくく、生き生きと毎日を過ごせると好評だ。
リオンの子供向け補聴器「リオネットピクシー」
同社は1948年に日本で初めて量産型の補聴器を開発、全国の特別支援学校などを通じて難聴の幼児、小学生らに補聴器を提供してきたという。「子供向け専用に開発した製品はこれが初めて」と医療機器事業部の斎藤敦課長は話す。
「リオネットピクシー」を装着した女の子(イメージ)
教員や保護者の話を聞くと、従来の補聴器は子供が活発に体を動かすと、外れかかることが多いとの不満が多かった。小さな子供は耳よりも大きな補聴器を着けなければならず、かわいそうとの親の声もあった。
補聴器の心臓部であるスピーカー部分を2年かけてゼロから開発。スピーカーは小さなケースに入っている振動板を磁気で動かし、空気の波を作り出して音を出す仕組み。独自技術を生かし、空間を小さくしながら同じ音量を確保した。
高度・重度の難聴に適応する高出力を維持しつつ、従来機種に比べ体積は25%、重量は21%減らした。本体は子供の耳になじみやすい曲線にしピンク、水色などカラフルな9色。「子供が友達と違う色を選べて楽しそうとの保護者の声が届いている」と斎藤課長。
リオンは、この機種の発売を機に購入支援策「キッズ応援プロジェクト」を実施し、20歳以下の人が購入する場合、法律で定められた「購入基準額」で提供。公的補助の対象となる購入者は基準額の1割の負担で済むため、高性能の機種を入手しやすい。「さまざまな勉強をする大切な時期に、高品質の補聴器を使ってほしい」と斎藤課長は強調する。
「フジサンケイビジネスアイ」