東京都大田区の町工場による「下町ボブスレー」プロジェクトが開発を進めていたジャマイカ代表チーム用の新型そりが完成、報道関係者に公開した。フレームのたわみやゆがみをなくし、従来機よりも滑走時の抵抗を減らすとともに、低重心化を進め、カーブを素早く曲がれるようにした。
東京都大田区の町工場約60社が共同開発したジャマイカ代表向けボブスレーのそり=5日、東京都大田区の日本工学院専門学校
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のボディーにはジャマイカの国旗をあしらった。そりの刃となるランナーの平行度を保つための部品などを、地元の町工場約60社が無償で開発。金属の塊から削り出しで部品のかたち「一体削り出し」と呼ばれる工法を採用し、溶接加工では実現できない耐久性や強度を高めた。
さらに個々の部品の軽量化と小型化、低重心化を徹底させ、全長を3メートル以内に抑えた。
ジャマイカ代表チームは、すでに2018年の平昌五輪で、「下町ボブスレー」が開発したそりの採用を決めている。ジャマイカ代表チームは今月下旬のカナダでの滑走テストを経て、今冬に開かれる海外の大会を転戦する。
一方、下町ボブスレー側は、滑走テストや各大会で得られた走行データと、選手の要望を踏まえて、五輪本番用のそりの製作を進める。
5日、大田区の日本工学院専門学校で会見した下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会の国広愛彦委員長は「世界レベルの選手とともに世界最高のものづくりを世界で証明させていきたい」と語った。
ジャマイカ女子代表のジャズミン・フェンレイター選手は「いままでの経験からこのそりが世界最高のもので、大きな結果が出せると思う」と期待を寄せた。
「フジサンケイビジネスアイ」