建物の場合、基礎部の施工がしっかりしていなければ、頑丈な構造体であっても大地震に遭遇すると傾く可能性がある。人間もそれと同じ。体の土台が崩れたままの状態で筋肉をつけていくと、けがや故障につながる可能性が出てくる。こうした現状を踏まえ骨盤(腰)を土台に見立て、姿勢や歩き方、容姿すべてについて骨盤から整えるスタイルを提案、教室を通じてプロのインストラクターや一般受講者に対しレッスンを行うのがb-i(ビーイ)の小林亨(きょう)社長だ。
b-i 小林亨社長
◆脆弱な土台では駄目
小林さんは学生時代、新体操の大会で優秀な実績を残したほかジャズダンスなどに取り組んでいた。この実績に基づき、卒業後は新潟県で、楽器メーカーが運営する幼児向け体育教室の講師を務めた。
折しもその時代は、エアロビクスが本格的なブームを迎えた頃。文化教室を借りてカセットデッキから流れる音楽をベースに、保護者を対象にしたレッスンを行っていた。
腰回りの筋肉を緩め骨盤を整えていくレッスン風景
1980年代の半ばはスポーツクラブが次々と誕生した時代だ。エアロビクスの指導者に対するニーズも高く、小林さんはあるクラブのチーフインストラクターとして招かれ上京。インストラクターを指導する立場になり、フリーに転身した。その仕事の過程で開発したのが、英語で骨盤の意味を示す「pelvis(ペルヴィス)」から名付けたビューティ・ペルヴィスというプログラムだ。
インストラクターは健康を売っているはずなのに、足腰や膝を悪くするケースが後を絶たない。受講者も同様。その理由のひとつがオーバーワークだ。外国人はそもそも日本人に比べ骨格が頑丈なのに、民族性を考慮せず単純に現地スタイルを輸入してしまった。脆弱(ぜいじゃく)な土台の上に筋肉を積み上げていったので倒れてしまうのだ。
小林さんは学生時代、体操に熱中していたので体の上手な使い方を自然と会得していた。フリーの後は大手のヨガスタジオに入社し、同様にインストラクターの指導を行い、本格的に伝承したいという思いから昨年にb-iを設立した。
◆指導者育成に注力
さまざまな不調の原因を、骨盤がスムーズに動くことで解消しようとするのが骨盤調整の目的。あおむけになって骨盤から足を回したり、膝を立てて腰を上げ下げするなどして腰回りの筋肉を緩め、“土台”を整えていく。
また、骨盤の調整は頭蓋骨や顎(がく)関節とも関連しているため、顔つきや容姿にも深くかかわっているという。
同社が現在力を入れているのは、スポーツジムなどで指導を行える先生の輩出。養成コースで単位を取得した上で難易度の高い試験を経た認定者は130人を突破した。正しいエクササイズの方法は、まだまだ浸透していないだけに、認定者の大幅増が小林さんの当面の目標だ。(伊藤俊祐)
◇【プロフィル】小林亨
こばやし・きょう 新潟県保育専門短大卒。幼児体操の指導や大手スポーツクラブのチーフインストラクターなどを経て2015年1月にb-iを設立し、現職。54歳。新潟県出身。
◇【会社概要】b-i
▽本社=東京都港区北青山2-9-13
▽設立=2015年1月
▽資本金=2000万円
▽事業内容=骨盤調整に関わる運動処方
「フジサンケイビジネスアイ」