イベント型保育で“当たり前”応援

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ファモニィ・天沼幸子社長

子連れのママに安心して美容室などに来店してもらえるよう、イベント型保育サービス「ママトコタイム」を提供するファモニィ(東京都中央区)の天沼幸子社長は、首都圏を中心にママトコタイムの開催店舗を募り、現在の数十店舗から数年内には数百店舗へと店舗網の拡大を目指す計画を明らかにした。現在メーンの美容室のほか、整体院やネイルサロンなど、子育てで忙しくなった女性の足が遠のきがちなサービス業の店舗にイベント型保育の受け皿を広げることで、子育て女性の支援と新しい市場の開拓を目指す。


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ママトコタイムでは、子連れでも気兼ねなく美容院に行ける

◆気軽に美容院へ

「ゼロ歳から2歳くらいまでの小さな子供を抱えていると、気軽に美容院に行くことができない」。天沼社長は、市場調査で、多くの子育て中の母親たちの困り事をヒアリングしたという。

その中で、ママたちが自分の時間を見つけるのがとても難しく、特に長時間となる髪のケアに関する不安が最も多かったことを知り、美容院にイベント型保育サービスを提供する重要性に気付いた。

ママトコタイムは、ママが赤ちゃんや小さな子供と一緒に、安心して美容院に行けることを目指したもので、美容院が決めたママトコタイムの時間帯に予約を取れば、プロの保育スタッフが子供を預かってくれる。保育料は基本的に店側が負担し、来店客は無料(保険料、キャンセル料が発生する場合がある)という。

授乳やおむつ替えの心配はなく、子供が遊べる保育スペースを用意する。このサービスを利用すれば、「ママがキレイになっている時間はお子さんにとっても、楽しく遊ぶ時間になる」(天沼社長)という。

美容院側も、保育料を負担してでも、ママトコタイムを提供するメリットは大きい。常連客が出産、育児で来店の足が遠のくことを食い止める効果が期待できるほか、子育て期を機会に、新たな客を獲得できる可能性もあるからだ。

ファモニィは、ママトコタイムの認知度を高め、開催店舗の拡大を目指す。まずは、首都圏の美容室を中心に、ママトコタイムの活用を呼び掛けていく。さらに、整体院やエステサロンなど新たな業態にもサービスを適用していく方針。天沼社長は「数年内には数百店舗にまで拡大させたい」と成長の青写真を描く。

首都圏を中心に事業拡大の足場を固める一方で、東海や関西エリアなど地方への進出も目指したい考え。

さらに、これまでは、現場の保育サービスを提携事業者に全て任せていたが、ファモニィが自社で保育機能を備えた。「登録スタッフを抱え、ママたちの細かなニーズを把握し、サービスを柔軟に改善していく」(天沼社長)ことが重要だと判断したからだ。

ママトコタイムでは、預かっている子供の年齢や人数、状況に合わせて制作や音楽遊びなどを取り入れるなど、子供の時間も有意義になるよう配慮している。自社の保育機能を充実させることで、サービスの質を高めたい考えだ。

◆自身の経験基に

天沼社長は、ママトコタイムを始めたのと同時期に、自らも子育てを経験した。「子育てによるママの環境変化は大きく、子供が生まれる前までは、当たり前にできたことが、生まれた途端に当たり前ではなくなることを実感した」という。

例えば、子連れでは歯科医院への通院も難しく、ママトコタイムが求められる領域はまだまだ多くある。天沼社長は「ママになったら諦めるのではなく、ママになっても“できる”ということが当たり前の社会の実現に貢献したい」と話す。

同社は、女性が家族の中でより輝くよう、「家族の生活を豊かにするサービスを提供する」ことを理念に掲げる。天沼社長は「ママトコタイムはそれに貢献できるサービスであると自負している。ママトコタイムが必要としている人に、このサービスを届けられるように事業の拡大を加速していきたい」と話している。(小島清利)

 ≪Q&A≫

■ママの生活を豊かに

--ファモニィにどんな思いを込めているのか

「ファモニィはファミリーとハーモニーの造語で、家族のつながりや楽しさ、思いやりの大切さを感じてもらえるようなサービスを提供したいという思いで名付けた。毎日の生活の力となるものの中で、家族はとても大きな存在。大切な存在を大事にし、そしてさらに心豊かなものに育てていくお手伝いをしたいと考えている」

--ママトコタイムを始めた狙いは

「家族の中で女性の存在は大きい。ママは強く、優しく、そして温かい。一方で、子育てや仕事と育児の両立、家族を守ることで自分のことは後回しになり、毎日を忙しく過ごしているだけというママは多い。ママが楽しく、格好良く日々を過ごすことで、笑顔が増え、家庭も明るくなるはずだ。ママの生活、家族の生活を豊かにしたいという思いで、ママトコサービスを始めた」

--女性の社会進出の後押しも意識している

「自身の子育てにひと段落された人や保育士資格を持っていてもフルタイムで保育園で働くには難しい人、生活スタイルなどにより柔軟な働き方を希望する人がいる。保育という仕事に関わりたい、大好きな子供と接しながら、社会で働きたいという人たちの雇用創造に少しでも役立ちたい」

                   ◇

【プロフィル】天沼幸子

あまぬま・さちこ 短大卒業後、渡米。米国の大学、大学院で学び、MBA(経営学修士)を取得。帰国後、IT系のコンサルティング会社でビジネス経験を積んだ後、総合商社の関連会社で新規事業立案などに携わる。その後、ファモニィを設立し、自らの子育ての経験を基に、母親たちの困り事の解決に取り組む。40歳。神奈川県出身。

【会社概要】ファモニィ

▽設立=2009年9月

▽本社=東京都中央区銀座3-14-13 第一厚生館ビル5階

▽資本金=980万円

▽事業内容=インターネットを利用した施設情報サービス事業、保育(託児)業務に付帯する一切の請負事業など

「フジサンケイビジネスアイ」

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