日本アルテック・相澤庸介社長
人材不足に伴う採用難を背景とした需要増で人材紹介業の市場規模は拡大し、数千億円規模に膨らんでいる。特に高収益を見込めるスキルの高い技術者の紹介業務を強化する動きが、一部で見られるようになってきた。ものづくり専門の技術者に特化した人材紹介、転職支援を手掛ける日本アルテックの相澤庸介社長は「求職者と企業側双方に満足度の高いマッチングを実現している」と話す。
--専門性の高い人材紹介サービスを提供している
「会社の業務命令でキャリアコンサルタントの資格を取得し、すぐにキャリア形成支援業務にやりがいを見いだした。私自身が電気工学を専攻していたこともあり、技術系人材への関心を高め、より業務を追求しようと技術系派遣会社に転職した。派遣ではコアな業務に就くことができず、人によってはキャリア形成に不利な場合もあり、年齢が高くなると勤務先を探すのが難しくなる現実があった。これらを解消しようと正社員採用を目指す技術者に特化した人材紹介会社を設立した」
--他社との違いは
「大手の場合、技術系、営業系などさまざまな職種や業界について担当しなければならないこともあり、専門知識を身に付けにくい。また技術系に特化した人材紹介会社は非常に少ない。求職者に対してはその人のキャリアだけでなく、性格、趣味、家族構成なども把握するよう、丹念に面談を重ねている。一般的に人材会社は登録から3カ月以内に決めようとして次々に紹介するが、当社は期間を設けずに面談を重ね、本人が納得できる会社を決める。場合によっては1年かけることもある。長くかけた人ほど、本人の満足度が高いことが多い」
--企業との関係は
「当社はものづくり業界に専門的に集中して取り組むことで、企業と深い関係を構築している。業界事情にも精通しているため、きめ細かいマッチングが可能だ。求職者と企業双方の希望や特徴、社風、働き方などさまざまな要素を徹底的にチェックしてから紹介している。このため書類選考通過率、内定率、内定承諾率は非常に高い。企業からは『手間がかからず助かる』といわれ、求職者からは『他社では紹介してくれない良い企業だ』と喜ばれている」
--一人一人に時間と手間を掛けている
「転職相談や求人紹介だけでなく、履歴書や職務経歴書の書き方アドバイス、模擬面接の実施、面接への同行もしている。希望すれば当社の紹介で、既に入社している人との面談も設定する。このほか入社後に一緒に食事をして、フォローすることもある。時間を掛けて一つ一つ積み上げるようにして、口コミで求職者を増やしている。アナログ的な対応で非効率かもしれないが、地道に毎年1.5倍ずつ採用者数を増やしていきたい」(佐竹一秀)
◇【プロフィル】相澤庸介
あいざわ・ようすけ 流通業界を経て、2002年東京リーガルマインド入社。06年アルプス技研に転じ、12年日本アルテックを設立し、現職。40歳。神奈川県出身。
◇【会社概要】日本アルテック
▽本社=東京都中央区日本橋蛎殻町1-21-4
▽設立=2012年1月
▽資本金=900万円
▽従業員=5人
▽事業内容=技術者の就職・転職支援、技術人材紹介など
「フジサンケイビジネスアイ」