アンシャントマン 松山 秀俊社長
「クールジャパン」として日本の漫画が海外から注目を集める中、「魅力創発企業」を名乗る「アンシャントマン」(大阪市中央区)が展開する、漫画をビジネスに生かした事業が好調だ。商品やサービスの内容を漫画で説明することで、企業の魅力を国内外に発信。パリでは日本の弁当文化のブームを起こす“火付け役”の一端も担った。
創業したのは兵庫県尼崎市出身の松山秀俊さん(40)。神戸大学の大学院生時代の2004年、フランスに留学した際、フランス人が日本の漫画をテーマにしたイベントを熱心に企画する一方で、日本人が漫画の発信に積極的ではなかったことを不思議に感じ、事業を発案した。
帰国後、事業を展開したものの、当時はあまり先例もなかったため、しばらくは暗中模索の日々が続いた。
日本やフランスで開催される漫画関連のイベントに地道に足を運び、人脈を形成。日本企業のフランス進出を支援したり、ゲームのキャラクターのデザイン制作などを請け負ったりして収益源を確保した。
創業から6、7年目には、漫画を使った商品・サービスの販売促進支援を手掛けた。
これは照明器具の代理店からの依頼で、当時はなじみが薄かったLED(発光ダイオード)が便利なことを説明する漫画を制作。特に電気代が削減できる効果を強調したところ、「具体的にイメージできて分かりやすい」と好評だった。
パリにある日本の弁当をテーマとしたレストラン向けには、フランスのビジネスマンが幕の内弁当を「おいしい」と絶賛する漫画を制作。弁当という異文化を身近に感じてもらう工夫がヒットし、レストランの繁盛にもつながった。
最近では、訪日外国人客の増加に伴い、旅館などからの依頼も増えているという。
松山さんは「漫画は、パッと見て理解できるのが利点。子供の頃から漫画に親しんでいる世代には特に効果的」と強調する。
12月5、6の両日には大丸心斎橋店(大阪市中央区)で、国内外の新進気鋭の漫画家を表彰する「第2回大阪国際マンガグランプリ」を開催する。
松山さんは「将来はテーマパークを建設するなどして大阪を漫画文化の中心地にしたい」と意気込んでいる。(栗井裕美子)
◇【プロフィル】松山秀俊
まつやま・ひでとし 神戸大院修了。テレビゲーム販売会社などを経て、2006年8月に創業。漫画をビジネスの手段とする事業を展開。漫画文化の国内外への発信のほか、国際交流にも貢献している。40歳。兵庫県尼崎市出身。
◇【会社概要】アンシャントマン
▽本社=大阪市中央区南船場1-16-23
▽設立=2006年8月
▽資本金=200万円
▽従業員=5人(パート・アルバイト含む)
▽事業内容=広告漫画やゲームキャラクターの制作、日本企業のフランス進出支援など
「フジサンケイビジネスアイ」