結婚式・披露宴の企画運営を行うエスクリは、沖縄での第1号となる結婚式場「セントレジェンダ オキナワ」(北谷(ちゃたん)町)を10月から開業した。同社にとって初めてとなるリゾートタイプの施設で、オリックス不動産が昨年開業したホテル「ヒルトン沖縄北谷リゾート」に隣接。敷地に面している海との一体感を演出できる点が売り物だ。沖縄でのリゾート婚は活発化しており、岩本博会長兼社長は「エスクリを支える大きな事業の柱となると確信している」と話している。
沖縄のリゾート婚市場は1万組を突破。地元の結婚式場会社などによって構成される沖縄リゾートウェディング協会では、20年までに2万組に増やすことを目標に掲げる。沖縄経済を支える新たな“産業”として注目されており、結婚式場会社間の競争も激化している。
エスクリは事業展開に当たり利便性をアピールする。まず、北谷町は、那覇空港から車で約40分と大型リゾート地の中でもアクセスがよいことを挙げる。また「ヒルトン沖縄北谷リゾートの隣で宿泊にも便利な場所に出店することにより、多くの集客を見込める」(岩本会長兼社長)点も強みだ。
施設は沖縄の海と空の青に映える白亜の外観としたほか、約10メートルのバージンロードを備えた純白なチャペル、プライベートバルコニーを設置するなど、リゾート婚を満喫できる空間を演出している。
同社の事業戦略の特徴は、建物などハードな部分にこだわらず、立地の良さに徹している点。結婚式では遠方に住む親族や友人らを呼ぶことから、利便性を重視した出店が必要となってくる。このため東京駅など主要ターミナルから徒歩5分以内といった場所に拠点を設けている。一方、ドレスのレンタル ヘアメーク、写真撮影といった式の当日に必要な業務については内製化を推進。均一なサービスの提供に力を入れている。
こうした取り組みが原動力となって業績は好調に推移。連結ベースの2015年3月期売上高は232億円だが、18年3月期には400億~450億円まで引き上げる計画を進めている。この中期事業構想を達成させる上で重要な役割を果たすのがリゾート婚だ。
とくに沖縄のリゾート婚に対しては国内だけでなく、台湾や香港、中国をはじめとした海外の需要も大きい。アジアのカップルの間では沖縄で式を挙げて浜辺で記念写真を撮影することも流行している。
同社では今年度から海外事業部を発足。アジア諸国を中心にインバウンド需要の掘り起こしに力を入れているだけに、岩本会長兼社長は「セントレジェンダ オキナワ」に対し「アジアの富裕層向けインバウンドビジネスの展開を考える試金石になると考えている。期待値は高い」と強調する。
今回の出店戦略が成功すれば、沖縄県内での拠点拡大も視野に入れている。(伊藤俊祐)
◇【会社概要】エスクリ
▽本社=東京都港区西新橋2-14-1 興和西新橋ビルB棟
▽設立=2003年6月
▽資本金=5億7390万円
▽従業員=835人
▽事業内容=挙式・披露宴の企画・運営
「フジサンケイビジネスアイ」