日本語の観光地図の前で行き先を探す外国人観光客=東京都中央区
ヤマップは、携帯電話の電波が届かない山の中でも、スマホに搭載されているGPS機能を活用して、現在位置が確認できる地図アプリ。20歳から山登りに夢中になったセフリの春山慶彦社長が「山での遭難や道迷いの事故を軽減したい」と、GPSの地図アプリを開発した。
これまでも、山登り愛好家の中では、専用のGPS機器を持って山登りするケースはあったが、「端末は3万~10万円と高額で、誰もが気軽に使えるモノではなかった」(春山社長)。ヤマップは手持ちのスマホにアプリをダウンロードすれば使用可能で、通信料以外は費用はかからないといい、プリインストールするスマホメーカーも出るほど認知を高めてきた。
また、ヤマップは、パソコンにダウンロードした地図をプリンターで出力し、紙の地図としても使うことができる。地図情報は、適時更新しており、旬な情報を得ることができる。
さらに、マイページを設け、ルートや活動時間・標高・写真・感想など、大切な旅アルバムの記録を簡単に共有できる機能もある。地図ごとに情報がまとまっているので、公開されている他のユーザーの記録を参考にしたり、ユーザー同士で情報交換したりなど、登山・アウトドアの計画や準備にも役立つという。2014年度グッドデザイン賞を受賞し、同賞ベスト100にも選出された。
春山社長がヤマップ英語版を開発したのは「国内には魅力的な観光地がたくさんあり、滞在型観光を増やすためにも、インバウンド向けのアプリが必要」と考えたからだ。起業する前は旅行業界に身を置いていたといい、外国人観光客に対するサービス向上への意識も高い。
ヤマップ英語版がリリースされれば、訪日外国人が使い慣れたスマホで地図を調べられ、便利なツールになる。春山社長は「ヤマップ英語版も課金する予定はない」としており、「ヤマップギア」と名付けた登山・アウトドア用品の比較サイトで収益を稼ぐ戦略だ。
「フジサンケイビジネスアイ」