株式上場で認知度、獣医師確保し全国展開

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日本動物高度医療センター・平尾秀博社長

□日本動物高度医療センター・平尾秀博社長

  高齢化の波は人間だけでなくペットにも押し寄せ、1世帯当たりの動物病院への年間支出額も増加傾向にある。ペット飼育者のうち80%以上がペット保険の必要性を感じるなど、動物向け高度医療へのニーズは高い。動物病院として初めて株式を上場した日本動物高度医療センターの平尾秀博社長は「認知度を向上させて獣医師を確保し、全国展開につなげたい」と事業拡大を目指す。

--動物病院の特徴は

  「飼い主の身近なかかりつけ医である『一次診療施設』からの紹介のみを受け付ける『二次診療施設』であること。川崎市と名古屋市に拠点を開設しており、磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)装置など高度な医療機器をそろえ、脳神経科、循環器科、腫瘍科など11診療科で62人の獣医師が対応している。診療後のケアは一次診療施設に要請し、地域の動物病院と連携している。競合する大学病院は土日祝日は休業するが、当院は年中無休で診療している」

  --3月に動物病院運営会社として国内初の上場を果たした

  「資金調達に加えて認知度の向上を通じ、優秀な獣医師を確保して高度医療を全国に展開したいと考えたからだ。実際、若い獣医師からの問い合わせが増えた。また飼い主の間にも当院が広く知られるようになった」

  --全国に動物病院は1万1000以上存在する

  「国内の犬、猫の飼育数は2000万頭を超えていて、獣医師は不足している。毎年約1000人が獣医師になるが、小動物の医療に携わるのは半数にも満たず、ほかは公務員や企業の研究職などになる。1万以上の動物病院に500人足らずの獣医師しか供給されず、慢性的な人手不足になっている」

--人材をどう確保するのか

  「教育に力を入れている。実は一般的な医師と異なり、獣医師に対する教育制度は十分に整備されていない。こうしたなか、当院では2年間で総合的臨床研修ができるよう、体系的なカリキュラムと指導体制を整えている。獣医師としての人格や価値観を育成し、基本的な診療能力を習得することを目的としている。自らの医療技術を高めることにつながり、若い獣医師にとって魅力的だ」

  --今後の展開は

  川崎市と名古屋市のほかに2017年秋までに大阪に病院を設立する。その後、全国主要都市に順次開設する。それ以外の地域でも需要があれば進出する。各地域の動物病院と共存しながら、医療の水準を高めていきたい。また動物医療界の総合的なプラットホーム企業を目指し、子会社を活用したシステム開発など、診療以外の事業領域の拡大にも乗り出す。16年3月期の売上高は前年比8.8%増の20億6000万円を予想している」(佐竹一秀)

                   ◇ 【プロフィル】平尾秀博

  ひらお・ひでひろ 東京農工大農卒。岐阜大院修了。獣医学博士。動物病院、大学病院勤務を経て、2007年日本動物高度医療センター入社。14年11月から現職。46歳。香川県出身。

                   ◇

【会社概要】日本動物高度医療センター

▽本社=川崎市高津区久地2-5-8

▽設立=2005年9月

▽資本金=3億2563万円

▽従業員=151人(グループ全体、15年6月末時点)

▽売上高=20億6000万円(16年3月期予想)

▽事業内容=二次診療専門動物病院の運営など

「フジサンケイビジネスアイ

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