訪日客需要獲得あの手この手 手荷物格安配送や外国語接客…新事業展開

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中小・ベンチャー企業の間で、訪日外国人客をターゲットとした新たな事業を展開する動きが活発化している。運送業のハーツ(東京都品川区)は、羽田空港に到着した団体客の手荷物を、まとめて都内の宿泊先などに格安で配達するサービスを開始。留学斡旋(あっせん)業のライフブリッジ(仙台市泉区)は中国語を使ったおもてなし研修サービスを始めた。今後も急速な伸びが見込まれるインバウンド需要を取り込み、新たな収益源に育てようと、幅広い業種で知恵の絞り合いとなっている。

昨年2月、関東地方を大雪が襲った日。運転手付きトラックを時間単位でレンタルする「レントラ便」を展開するハーツの山口裕詮社長が成田空港で荷物の引き受け作業を行っていた際、突然、ノルウェーからの観光客が泣きついてきた。その日は大雪で公共交通機関が大混乱。スキー板をはじめとした10人分の荷物を、何とか都内に運べないかという相談だった。

  交渉の末、山口社長は引き受けた。この経験を通じ「空港に着いてからの運送サービスを十分に把握していない観光客が多い」ことを再認識。団体客の荷物を一括して運ぶ「東京ポーターサービス」を発案し、本格的に開始することを決めた。

観光客は土地勘もなく言葉も通じにくいので、サービスでは「分かりやすさ」を徹底。料金は荷物の大きさや重量は関係なく、トラック1台単位とし、「15キロ圏内でいくら」といったように直線距離で料金を算出する方式を取り入れた。例えばトラック1台に35人のスーツケースを積み、東京ディズニーランド周辺のホテルに届ける場合、1人当たりの金額は600円。一般的な宅配便に比べ3割程度と割安だ。

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国土交通省では、外国人旅行者の利便性向上を図るため、“手ぶら観光”の基盤整備が課題だと指摘している。こうした動きを追い風にして、新サービスで初年度1億円の売り上げを目指す。

  貸会議室で成功したティーケーピー(TKP、東京都新宿区)は、貸会議室の利用者とともに訪日外国人の取り込みを狙い、ホテル運営に本格的に乗り出す。訪日客増加の影響で、ホテル不足が深刻化しており、いち早く需要を取り込むためだ。アパホテル(同港区)とのFC(フランチャイズ)契約で事業を展開。3年後には10カ所での運営を目指す。

京成スカイライナーで成田空港から最短36分という好立地の東京・日暮里駅前にも開業する予定。TKPの河野貴輝社長は「成田空港を利用する層に利用してもらえるはず」と語る。

訪日外国人客の満足度を高めるには、言葉も重要。しかし、受け入れに向けた基盤整備はまだまだ不十分だ。日本政策金融公庫が小売業や飲食店などを対象として2013年に実施した調査によると、外国語の商品説明やパンフレット、メニューがある企業の割合は10%にすぎなかった。

こうした動向を踏まえ徐々に増えつつあるのが、接客時の会話を支援するサービスだ。特に目立つのは、中国人を意識したサービス。博報堂の調査では、中国人が訪日中に消費する金額は20万~40万円が多く、他国を大きく上回る。いわゆる“爆買い”の恩恵を、中国人向けスタッフのいない中小の店舗でも受けられるようにすることが目的となる。

ライフブリッジは、アウトソーシング業のメディアフラッグ(同渋谷区)と連携して、「接客特化型 中国語・おもてなし研修サービス」を開始した。ライフブリッジが独自に開発した“カタカナ中国語”を活用し、カタカナを音読するだけで中国人の接客に最低限必要な言葉が学べるサービスだ。

ネット通販を手掛けるギフトグッズ(高松市)は、ネット通話サービスのSkype(スカイプ)を使い、中国語会話のオンライン講座を開講した。例えば宿泊施設では「お名前を教えてください」、飲食店は「ご注文を伺います」といった、接客に不可欠なコミュニケーションを行える会話力が身につくまで、中国人の講師がマンツーマンで指導する。

 電話通訳サービス

コールセンター運営のテレコメディア(東京都豊島区)は、電話通訳サービスを強化する。契約する店舗に外国人客が来店した場合、店員に代わって通訳スタッフが電話で客とやり取りするサービス。中国人観光客関連の引き合いが強いのを受けて、契約テナント数を16年3月までに、現在の3倍以上の2万まで拡大する計画だ。

日本政府観光局によると今年上期(1~6月)の訪日外国人客数は、過去最高だった前年同期比46%増の約914万人となった。年間では1800万人前後に上る見通しで、20年までに2000万人を目指す政府の目標が、前倒しで実現する可能性も出てきた。

  急増する訪日客の観光と消費による恩恵は、中小・ベンチャー各社の取り組みを通じ、全国各地に浸透していきそうだ。(伊藤俊祐)

「フジサンケイビジネスアイ」

 
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