
ウシオライティングが手掛けた京都駅ビルの大階段の照明
LED(発光ダイオード)ランプをはじめ各種の光源を製造販売するウシオライティングは、照明器具のデザインや開発を手掛ける、マックスレイの全株式を取得、グループ会社化した。両社は商業施設の領域を得意としていることから、シナジー効果によって効率的な受注活動を進めていく方針だ。
ウシオライティングが得意としてきた各種のランプは、消耗品であるため、一定の交換需要が予測できた。しかし、寿命が長いLED光源の急速な普及によって、ビジネスモデルの大幅な転換を迫られている。
業界団体も異なるなど、光源と照明器具のメーカー間には一線が画されてきたが、垣根を越えて照明器具を開発しなければ生き残ることが難しいと両社の思惑が一致した。
また、マックスレイは商業施設に特化したデザイン性の高い照明器具の開発を強みとしているのに加えて、両社がもともと親しい関係にあったことから、マックスレイのウシオグループ入りに発展した。
これに伴い、マックスレイの新社長には4月27日付で、ウシオライティングの椿隆二郎・元取締役が就任した。
両社がタッグを組んだことによるメリットはいくつかある。その一つは、ウシオライティングは、マックスレイが完成させる照明器具をイメージした上で光源の開発に取り組める点だ。相乗効果の発揮も見込める。
ウシオライティングの技術は、京都駅ビルの大階段「グラフィカル・イルミネーション」や虎ノ門ヒルズ(東京都港区)といった著名な施設で、外壁部の照明演出に採用されている。これに対し、マックスレイはこれまで、室内空間を専門としており、外壁部分の照明は手掛けていなかった。
このため、今後は両社が得意な分野を持ち寄って、室内外を一体提案することが可能となり、椿社長は「マーケットは大きく広がるはず」と期待を寄せている。
ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が共同で創業した、米LED照明ベンチャー「Soraa」(ソラー、カリフォルニア州)が紫色LED事業で日本市場に攻勢をかける計画を打ち出しており、こうした動きとも連携する方針。さらに、海外市場の開拓にも力を入れる。
2020年の東京五輪に向けて東京都心部を中心に再開発が進んでいる。両社が得意とする商業施設の分野でも、新設やリニューアルに関わる照明関連の活発な投資が見込まれる。
椿社長は「香港やシンガポールに比べると日本の夜は寂しい。ただ、華美な部分を追求するのではなく、両社の強みを融合させたLEDを武器にした日本独特の明かり文化を作り上げ、世界にアピールしていきたい」と話している。(伊藤俊祐)
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【会社概要】ウシオライティング
▽本社=東京都中央区八丁堀2-9-1
▽創立=1963年3月
▽資本金=10億1748万円
▽従業員=377人
▽事業内容=ランプ、LEDの生産販売
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【会社概要】マックスレイ▽本社=大阪市城東区鴫野西2-18-6
▽設立=1967年8月
▽資本金=7000万円
▽従業員=120人
▽事業内容=商業施設用照明器具の開発
「フジサンケイビジネスアイ」