
災害用だけでなく多用途に活用できるトレーラー「幌馬車くん」
キャンピングカーの製造販売を手掛けるStage21は、牽引(けんいん)免許がなくても車で引っ張ることができる災害対策用トレーラー「幌(ほろ)馬車くん」を開発した。災害時の利用を想定して物資の輸送だけでなく、備蓄倉庫としても活用できる。屋根にはソーラーパネルを搭載し、ライフラインが復旧するまでの電気を使うための拠点にもなる。7月中の発売を予定。価格は106万9200円から。初年度は100台の販売を計画している。
幌馬車くんは、自動車や航空機、建築物などに幅広く用いられている繊維強化プラスチック(FRP)製。災害時にもがれきの中を走れるよう、大きさをコンパクトな軽自動車サイズに収めた。車体の重さは250キロで、女性でも手で引っ張れる。最大積載量は350キロで、2リットルのペットボトル約170本を積める。積み荷を満載にしても総重量が750キロ以下なので、牽引免許がなくても普通免許さえあれば動かせる。
ソーラーパネルで発電した電気は蓄電して、安否連絡用の携帯端末の充電や、情報収集のためのテレビも視聴できる。またテレビやラジオの中継車としても使える。
東日本大震災発生後、同社が加入する業界団体の日本RV協会が被災地にキャンピングカーを貸し出した。霜田勝美社長も会社として協力できないかと考えた末、普通免許があればだれでも取り扱うことができるトレーラーをつくることにした。
また、震災の影響による輪番停電で不自由な思いをしたことから、自家発電で電気がまかなえるよう200ワットソーラーパネルを搭載した。より大きな電力が得られるよう別売りで400ワット風力発電機を接続することもできる。昨年4月から製作に着手し、さまざまな試行錯誤を繰り返して、12月には試作品を完成させる。
イベントなどで災害用トレーラーとして展示すると、震災以降の防災への関心の高さもあり、多様な反響が寄せられた。自治体の防災担当部署のほか、医師会からは巡回診療所として、またトイレカーや衛星の中継局としての用途での問い合わせもあった。
災害用だけでなく、「かわいくて目立つので客寄せに最適」ということから、移動販売店舗用としても注目されている。
霜田社長は「想定していた以上に用途が多様で驚いている。顧客からの提案にできるだけ応え、活用の可能性を広げたい」と話している。(佐竹一秀)
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【会社概要】Stage21
▽本社=相模原市中央区上溝2256-1
▽設立=1981年9月
▽資本金=2300万円
▽従業員=15人
▽事業内容=キャンピングカー、トレーラーなどの製造・販売
「フジサンケイビジネスアイ」