「リンベルスマートギフト」を戦略商品に位置付けるリンベルの東海林秀典社長=東京都中央区の本社ショールーム
カタログギフト大手のリンベルは、これまでのカタログギフトの概念を打ち破った、インターネット時代に対応した新たな商品「リンベル スマートギフト」を、次の飛躍に向けた戦略商品に位置付ける。
最大の特徴は、ウェブサイト上で当初の設定金額に贈られた側がクレジットカードやマイルサービスのポイントを使って加算して商品交換ができ、商品選択の幅を広げた点にある。さながら「足せる、分けられる、換えられる」高い自由度を備えた次世代型カタログギフトだ。
発売は昨年2月で、本格的な自社ブランド商品育成を目指し、創業60周年を機に企業ロゴも一新した。東海林秀典社長は「離陸は成功した。今後どれだけ高度を上げ、水平飛行に移れるかにある」と確かな手応えを感じている。発売1年で売上高は約5億円(姉妹版「バリューチョイス」を含む)に達し、2、3年後に10億円を目指す。
上々の滑り出しは、従来型の平均購入価格が4500円なのに対し、スマートギフトは1万9000円と4倍を超え、「高級自由型」の狙いが的中したことでもうかがえる。発売2年目を迎えた3月にはリニューアルし、新商品・サービスを拡充したうえ、法人向けにはカードデザインや金額設定をカスタマイズできるサービスを追加した。
カタログギフトは1980年代後半、結婚披露宴の引き出物に利用され、その後は冠婚葬祭全般に広がり、市場を拡大してきた。しかし、贈られた側は贈り手が決めた価格で限られた商品しか選べないなど、使い勝手に難点もあった。スマートギフトの開発に当たっては、カタログギフトを手掛けて30年の実績を踏まえ、こうした不備を改善し、贈り手、贈られる側の双方に喜ばれる商品を提供したいとの思いがあった。
設定金額より高額な商品と交換したい場合、贈られた側が自分でポイントを加算し、購入できる点や、商品券、ギフトカードへの交換も可能とした点に、その狙いが反映されている。ポイント交換は日本航空(JAL)のマイレージが対象で、3月からは従来の3000マイルからの交換に加え、新たに1万マイルの交換が可能になった。
東海林社長はポイント交換の採用を「流通業にとって大きな要素のポイントサービスが活用できると見込んだから」とし、当面はJALのマイレージとの交換に「全力を挙げる」。
リンベルは「顧客原点の会社運営」を貫いており、東海林社長は顧客目線で開発したスマートギフトを「10年目に500億円の売り上げ規模にする意気込みで臨む」と力を込める。(鈴木伸男)
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【会社概要】リンベル ▽本社=東京都中央区日本橋3-13-6 ▽設立=1987年7月 ▽資本金=3億5446万7500円 ▽売上高=553億円(2014年3月期) ▽従業員数=436人(13年12月末時点) ▽事業内容=カタログギフトの企画・販売、卸売業など
「フジサンケイビジネスアイ」