PC教室展開のオーキッド、高齢者向けに特化で生き残り

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中高年にターゲットを絞ったオーキッドのパソコン教室の授業風景(同社提供)

 世帯普及率が80%を超えたパソコン。小中学校でも「総合的な学習の時間」として、パソコンやインターネットに関する授業があるご時世、経営環境の厳しいパソコン教室が多い中、オーキッドは高齢者にターゲットを絞ることで、差別化と生き残りに成功している。

 オーキッドが埼玉県草加市に1号店を出したのは1997年。米マイクロソフトのOS(基本ソフト)「ウィンドウズ95」が登場し、初心者でも簡単に操作できることで、パソコンが普及し始めた頃だ。受講希望者が殺到し、約500万円の出店費用を半年で回収、出店サイクルは速まった。

 ところがパソコンの国内メーカー出荷台数が1000万台を超えた2000年頃を境に受講生の顔ぶれに変化が現れる。それまでの若者や学生から、主婦や高齢者に変わってきた。それに伴い、「テキストに書かれた用語がわからない。また内容も理解できないという声が大きくなった」(松野公一会長)という。

 そこでオーキッドでは、受講対象を高齢者に絞り込み、わからない部分を何度でも繰り返し受講できるようにカリキュラムを構成している。電源の入れ方やインターネットブラウザの立ち上げ方といった初心者でも最も初歩の段階から、表計算、さらには作画やはがき印刷など初心者でも高度なスキルが求められるものまで、きめ細かなカリキュラムを用意した。

 また市販のテキストではわかりづらいという声をもとに、独自でテキストを作成。高齢者が陥りやすいポイントでは、なるべくページ数を割くようにした。

 そしてスクールで習得したスキルを生かせるように、さまざまな講座やイベントを用意している。例えば、家族や友達との旅行写真などを使ってアルバムやDVDを制作する「思い出めぐり講座」、デザイン性に富んだ年賀状などを作る「シェイプアート講座」などがある。作品の展示会も開き、卒業生にとっては自己表現の場となっている。こうした取り組みが評価され、オーキッドの卒業生6万人超のうち、60%が60歳以上で占める。

 現在、埼玉、東京、千葉の1都2県に直営の教室が29カ所あるが、今後は年3~5店のペースで出店を計画。現在、首都圏で空白地となっている神奈川県内への出店も検討している。

 さらに教習で人気の高いタブレット型情報端末やスマートフォン(高機能携帯電話)に関する講座をまとめたDVDソフトも制作した。タッチパネルの操作のこつ、インターネットや電子メールの閲覧方法、アプリのダウンロードの方法まで、初心者向けにわかりやすく解説している。

 5月中旬から同社のホームページを通じて販売、事業の多角化に乗り出す。(松村信仁)

                   ◇

【会社概要】オーキッド
 ▽本社=埼玉県草加市中央1-1-12 オガワ第10ビル5F
 ▽設立=1997年7月
 ▽資本金=2680万円
 ▽従業員=82人
 ▽事業内容=東京、埼玉、千葉の3都県で高齢者や初心者向けのパソコン教室を運営

「フジサンケイビジネスアイ」

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