テクニコは、既存の設備を活用して無段階のスムーズな調光が可能な発光ダイオード(LED)スポットライト「SL2(エスエルツー)」を開発した。従来モデルに比べ照度を大幅に高めたことにより、100人程度を収容するホテルの中規模宴会場の需要にも対応できるようにした。すでに発売している機種を含め、今後3年間で5000~6000台の販売を計画している。 同社は2007年から、業務用調光型LEDスポットライトの開発に着手。11年から販売を開始し順次新タイプを投入してきたが、今回発売したSL2は「当初から目標としていたレベルの製品」(諏訪寧三社長)という“自信作”だ。
これまでは250ワットのハロゲンランプに相当する明るさを実現していたが、SL2は500ワット相当まで性能を向上した。従来は天井高が3.5~4メートルの宴会場まで対応していたが、高さ5メートル程度の広間にも活用できる。また、従来と同様にナロー(13度)、ミディアム(20度)、ワイド(30度)という3種類の角度からレンズの選択が可能だ。
同社はホテルや店舗、商業施設などの照明、空間演出を手掛け、年間売上高は約24億円。このうちホテルについては国内30カ所で実績を残している。
ホテル宴会場の設備は通常、10~15年の周期で改修される。しかし、不況の影響もあって宴会需要が伸び悩んでいることもあって全ての会場を改修することは難しい。とくに中小規模の会場は、設備改修を後回しにするケースが多い。ホテル側も省エネをはじめとした環境対策の一環として、LED化を進めたいところだが、切り替えがほとんど進まず古い設備のまま使用しているのが現状だ。
こうした中、同社のシリーズは従来のスポットライトを使用している場所で、既存のコントロール設備を生かして付け替えることが可能なタイプ。改修工事が不要なため導入時のコストを大幅に削減できる。また「精度の高さが一番の強み」(諏訪社長)というように、0~100のレベルに至るまで調光できるため、同じ用途に使われてきたハロゲンランプと遜色のない光の演出を提供する。電気代は、導入前に比べ平均5分の1に抑制できる。
ホテルの宴会場は今後、20年の東京五輪に向けて活性化することが予測される。都心部では大型プロジェクトが相次ぎ、それに伴うパーティーなどの需要が見込めるからだ。必然的に設備投資の動きが顕在化するとみられるだけに、SL2の投入を機に攻勢をかけていく。さらに天井高が6~8メートルといった大型宴会場にも十分に対応できる、新機種の開発にも力を入れる。ホテルのほか、葬儀場やアミューズメント施設、小ホール・劇場などにも売り込んでいく計画だ。(伊藤俊祐)
◇【会社概要】テクニコ ▽本社=大阪市中央区城見2-1-61 ツイン21 MIDタワー34階 ▽設立=1986年7月 ▽資本金=4000万円 ▽事業内容=ホテルなどの空間演出
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