法人向けに研修サービスを展開するアテニュームと、研修コンテンツ開発のフレアリンクは連携して、IT(情報技術)エンジニアを対象とした研修プログラム「ラーニングストーム ITエンジニア向けコース」を開講している。技術知識とビジネスマインドを併せ持ったITエンジニアを養成することが目的。初年度の売り上げは500万円を目標とし、次年度には3000万円を計画している。 「ラーニングストーム」は、4人1組で講師の指導のもと、クラウド型シミュレーター内で仮想企業の設立運営を体験しながら、主に若手社員のコスト意識やビジネスマインドを育成する研修プログラム。2013年1月に発売され、これまでに86社が受講している。
第2弾となるITエンジニア向けコースは、技術の知識は豊富だがコスト意識が乏しく、顧客との間にずれが生じがちなエンジニアに、ビジネス視点を持ってもらうために開発された。
受講者はシミュレーター上で仮想のソフトウエア会社を設立し、商品開発、販売、マーケティングのほか、資金調達など会社経営全般についてゲーム感覚で学習する。
とくに財務諸表や統計グラフは、無味乾燥な数字のため従来の研修では人気がなかった。しかし業績がリアルタイムで反映されて実感を伴うので、若手社員の興味が喚起され理解も深まるようになっている。
不況時の設定もされている。マーケティングリサーチをして売れない理由を探り、市場ニーズとのずれを捉え直し、製品を改良して立て直しを図る。場合によっては、奮闘むなしく倒産してしまうこともある。しかし受講生は「得るものは大きかった」と満足感を示すという。
「エンジニアはいいものをつくろうとするが、費用がかかりすぎると、顧客から選んでもらえない。相手のニーズへの理解や、コスト意識といったビジネス的視点を身に付けることが必要だと思った」と自身もエンジニアのフレアリンクの中山清喬社長は、ITエンジニアへのビジネスマインド養成の重要性について語る。
受講者からは「常にコストを意識して仕事をするようになった」「従業員に給与を払うことは大変なことだと分かった。待遇への不満が言えなくなった」といった声が寄せられている。
今後は不動産、工場設備を持つ製造業、店舗などに向けたシリーズをリリースしていく。アテニュームの瀧澤和男社長は「会社全体をシミュレーションできるため、経営者視点が身に付く。中小やベンチャー企業の若手社員向けに効果を発揮する」と話している。
企業とビジネスの仕組み、会計基礎、ビジネス法務基礎などの知識学習が中心の1日受講の短縮日程は、5万4000円。短縮日程の内容に加え、経営危機体験やマーケティングによる意識改革が身に付く2日受講の標準日程は、8万6400円。(佐竹一秀)
◇【会社概要】アテニューム ▽本社=東京都港区芝大門2-2-7 セントラルビル4階 ▽設立=2011年1月 ▽資本金=800万円 ▽事業内容=研修・セミナー、教育コンサルティング、翻訳
【会社概要】フレアリンク ▽本社=東京都港区赤坂2-16-6 BIZMARKS赤坂 ▽設立=2008年7月 ▽資本金=1000万円 ▽事業内容=高度IT技術人材の育成・活用の支援、IT技術人材育成に関する製品の製造・販売
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