顧客が自らウェブ上で飛行機や新幹線、ホテルまで予約して旅行に出掛けることが一般化している半面、より身近で日常的に使いたいレストランのウェブ予約は進展してない。口コミによる評価やクーポン配信などのサービスは浸透しても、一括予約をできるサイトの普及は遅れている。このため日本のレストラン予約の電話とネットの割合は9対1とされる。飲食店予約管理システム「ebica(エビカ)」を手掛けるエビソルの田中宏彰社長は「これまで取り逃がしていた予約ニーズを掘り起こし、売り上げ増に貢献する」ことを目指している。
--サービス内容は
「飲食店の予約台帳をパソコンとタブレット端末で簡単に一元管理できる。24時間365日対応可能で、営業時間外の予約も取り込むことができる。予約管理だけでなく、日々の売り上げや推移もデータベース上で確認することが可能になった。このため複数の店舗を展開していても、容易に全店の情報をリアルタイムで取得できる。また、顧客の側からすると、帰宅後や休日の予約が可能になるため利便性が増す」
--なぜレストランのウェブ予約は進んでいないのか
「飲食業では、業務中にパソコンを扱いにくいこともあり、IT(情報技術)機器導入に心理的な抵抗があった。しかし、操作しやすいタブレット端末が登場してから、飲食業界でも紙の予約台帳から電子化が進んでいる。またスマートフォンの操作に慣れた若いスタッフは、電子化にもすぐ対応している。今後急速に普及していくだろう」
--前職での経験が生かされている
「総合人材サービスのインテリジェンスで、アルバイト採用のウェブ化に取り組んだ。2000年当時、応募は電話がほとんどで、ウェブは10%程度にすぎなかった。苦労しながらも主要な事業の一つに育て上げた。その後、自分でゼロから事業を立ち上げたいとの思いから、11年に独立起業した。事業内容を何にしようかいろいろ検討したところ、レストランの予約は電話がほとんどで、ウェブは普及していないことが分かった。これは私が以前、アルバイト採用のウェブ化に着手したころと同じような構図だと思い、レストラン予約のウェブ化に取り組んだ」
--これまでの導入実績は
「現在約300社への導入が決まっている。また海外進出している店舗でも使われている。費用は1店舗で月額2万円だ」
--今後の展開は
「20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、世界中から訪日客がやってくる。このため多言語に対応して、3万店への導入を目指す。海外にも展開していきたい」(佐竹一秀)
【プロフィル】田中宏彰 たなか・ひろあき 獨協大外国語卒。1999年インテリジェンス入社、2009年執行役員。11年10月エビソルを設立し、現職。42歳。神奈川県出身。
【会社概要】エビソル ▽本社=東京都渋谷区恵比寿西1-12-12 ルネスEBI8階 ▽設立=2011年10月 ▽資本金=2億9287万3000円(資本準備金含む) ▽従業員=14人 ▽事業内容=オンライン・ツー・オンラインサービスを活用した店舗の集客支援
「フジサンケイビジネスアイ」