杉本 勝男氏
オフィスのペーパーレス化やフリーアドレス化が進み、紙の書類をコンピューター管理に移行する動きが広がっている。一方、膨大な書類をスキャンして取り込むには手間がかかり、業務に支障をきたすことがある。書類のスキャン代行サービスを手掛けるスキャンマンの杉本勝男社長は「潜在需要を掘り起こして、スキャン代行だけにとどまらない多様なサービスを展開する」と意気込んでいる。
--法人向けスキャン代行サービスを始めた
「昨年8月の会社設立以来、相手先へ出向いて1時間3218円というシンプルな料金プランで業績を伸ばしてきた。定期的に派遣してほしいという法人からの要望が強かったため、10月から新サービスを始めた。毎週もしくは隔週でオフィスを訪れて、名刺や各種資料、領収書などの文書を電子化する」
--導入する側のメリットは
「書類の管理に取られていた手間を省き、社員は自らの業務に専念できるので業務効率が上がる。ハードディスクやクラウドでのファイル管理によりペーパーレス化が進み、社内での情報共有も容易になる。オフィスに出向いて顧客の目の前で作業をするため、情報漏洩(ろうえい)の恐れはなく、安全性も確保されている。書類をスキャンしてパソコンに取り込んで作業をするが、データの履歴が残らない特別仕様になっている。書類は倉庫で預かるほか、溶解処理も請け負う」
--オフィスはペーパーレス化が進んでいる
「ペーパーレス化はさらに進展するだろう。将来、書類をスキャンする仕事がなくなるかもしれないが、そのときのことはすでに考えている。当社はスタッフの大多数がアルバイトなので、誰でも円滑に作業ができるよう、顧客ごとに細分化されたマニュアルを作っている。このノウハウを生かして、マニュアル作成サービスの展開を考えている。例えば派遣社員を受け入れている会社の場合、毎日1時間基本的なことを講習しているケースがある。しかし、誰でも簡単に理解できるマニュアルがあれば講習を省き、業務の効率を上げることができる。また、当社もノウハウを生かして、家事代行業などスキャンサービス以外の分野に進出する」
--今後の展開は
「ペーパーレス化が進んでいるので、書類のスキャン需要は今は旺盛だが、いずれじり貧になる。そのためにこれまで蓄積した強みを生かして多角化を図る。2019年ごろまでにスキャンサービスのほか、マニュアル作成、家事代行などを事業化して事業部ごとに分社化し、ホールディングス化する。13年度の売上高は1000万円程度だが、16年度までに10億円を目指す」(佐竹一秀)
【プロフィル】杉本勝男 すぎもと・かつお 名工大中退。在学中の2009年に電子書籍プラットホームの会社を立ち上げるが、解散。13年8月スキャンマンを設立し、現職。29歳。愛知県出身。
【会社概要】スキャンマン
▽本社=東京都渋谷区千駄ケ谷5-33-3 新宿ネオン402
▽設立=2013年8月
▽資本金=500万円
▽売上高=1000万円(14年6月期)
▽従業員=33人(アルバイトを含む)
▽事業内容=スキャン代行サービス
「フジサンケイビジネスアイ」