今回は9月23日に東京で設立総会を開く、「人を大切にする経営学会」について取り上げる。本連載執筆者の一人である法政大学大学院の坂本光司教授が中心となって設立される。
学会設立の最大の目的は「業績や勝ち負けなどではなく、組織にかかわる全ての人々の幸せの追求・実現こそが、企業経営の最大・最高の使命と責任」「業績や勝ち負けではなく、人をトコトン大切にしている企業こそが、好不況にぶれず好業績を維持・継続している」という近年の先行研究の深化・体系化と「人を大切にする経営学」の普及・浸透にある。
経済社会のボーダーレス化・グローバル化、ソフト化・サービス化の進行や国民所得の向上などが相まって、わが国経済の活力は次第に低下している。
劣化する経済活力、とりわけ企業の起業家活動を活発化させるため、この間、政府はもとより企業も、よりグローバルな視点から、その経営戦略を再編するとともに、なお一層の生産性強化・競争力強化に取り組んできた。
しかし現実はというと、依然、低水準の経済成長にあるばかりか、企業の赤字率も年々高まり今や70%を超える状況となっている。
ただし、こうした厳しい経済環境でも、全国には好不況を問わず高い業績を持続している企業が少なからず存在する。こうした企業が続けてきた経営学が近年、学会のみならず産業界でも注目され始めている。
好不況を問わず好業績を持続する、いわば「景気超越型企業」「景気創造型企業」や、そこで実践されている企業経営の学術的研究は、いまだ緒に就いたばかりで、これからなお一層の研究が待たれるが、その最大級の特長は「企業に関係する人々の幸せを最重視した経営学の実践」と言い切る研究者も増加傾向にある。
これまでの業績重視・技術重視・シェア重視といった経営ではなく、人の幸せを重視する経営の実践こそが、結果として、企業に安定的な好業績をもたらすという経営学の普及・深化は、単に産業界の経営の在り方だけではなく、広く医療関係者や産業支援機関関係者に多大な影響を与えるであろう。
経営学や社会学などに関する学会は数多く存在しているが、多くは大学関係者を中心とした各分野の専門家をメンバーとするものがほとんどであった。
しかし「人を大切にする経営学会」は、経営学を専門とする経営学者はもとより、社会学や医療・健康・福祉分野の学者・専門家、第一線の経営者や弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士・社会保険労務士・経営コンサルタント・金融機関や自治体等産業支援機関の担当者ら、これまであまり接点のなかった、さまざまな主体の関係者の参加を得た。
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【会社概要】アタックスグループ
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「フジサンケイビジネスアイ」