チケットストリート・西山圭会長
ライブコンサートや演劇などのチケットの2次流通サービスは、日本ではまだ広く認知されていない。しかし、海外では野球の米大リーグや米プロバスケット協会(NBA)などで、チケットの転売を目的とした2次流通サービス会社が公認されており、売り主と買い主のマッチングに貢献。興行収益の一翼を担っている。
携帯電話用コンテンツ(情報の内容)を開発していた西山圭会長と山本翔社長は、スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及で将来性を悲観して、新たなビジネスチャンスを模索。急成長していた海外のチケット2次流通市場に目を付けて、3年前にチケットストリートを設立した。
西山会長は「日本ではオークションサイトや金券ショップなどがあるだけで、個人取引は野放し状態だった。興行主と一緒にやれば市場を伸ばしていけると考えた」と新市場育成に意欲を燃やした。
チケット2次流通とは、購入したチケットを売りたい人が、買いたい人にチケットを売る行為。古物商の許可さえあれば、転売目的の買い占めや公共の場所で販売しなければ合法だ。現在はヤフーオークションなどネット競売が一般的だが、料金を振り込んでもチケットが届かなかったり、偽物が届いたなどトラブルがつきもので、利用には不安がつきまとう。
チケットストリートは、そのような不安を取り除くため、販売希望者の身元チェックや偽物チェックを徹底しているほか、独自サービス「安心プラス」をオプションで提供している。購入額の10%で利用でき、例えばライブが中止や延期になったり、偽物だった場合、購入金額を全額返金する。現在、同社でチケット購入者の半数が利用しているという。
チケット売買は同社のサイトまたはヤフーや楽天、モバオクのオークションサイトで行えるが、販売希望者が提示した価格を見て、購入したければクリックすればいい。通常のオークションと異なり、値段がつり上がることはない。売れなければ値段を下げることも可能だ。
先日の、ポール・マッカートニーさんのライブの際は、全公演が中止になり、チケットストリートで売った約200枚のうち「安心プラス」利用者の約100枚は購入額の全額が返金された。主催者は定額チケット代しか返金しないが、安心プラスなら高額になりがちな人気アーティストのチケットでも安心して購入できる。
今年2月に発表した日本バスケットリーグ(NBL)がチケットストリートと提携し、これまで認めていなかった観戦チケットの転売・払い戻しが可能になった。西山会長は「2次流通市場はチケット購入のリスクを減らし、購入決断を早める成果がでている。興行主に理解してもらいたい」と述べ、興行主との提携拡大に奔走している。(芳賀由明)
【プロフィール】西山圭
にしやま・けい 慶大商卒。サン・マクロシステムズ(現オラクル)日本法人入社。2000年にアサップネットワークス設立、モバイルコンテンツ事業など参入、11年8月に山本翔氏(現社長)と共同でチケットストリート設立、現職に。39歳。
【会社概要】チケットストリート
▽本社=東京都品川区西五反田2-27-4 明治安田生命ビル
▽設立=2011年8月
▽資本金=6590万円
▽従業員=30人
▽売上高=20億円(15年3月期見込み)
▽事業内容=チケット売買の2次流通サービス
「フジサンケイビジネスアイ」