アックスコンサルティング・広瀬元義社長
アックスコンサルティングは、簿記知識が不要でありながら正しい会計処理を行えるクラウド型のサービス「ハイブリッド会計 Crew(クルー)」の提供を開始した。主な対象となるのは年商1億円以下の小規模事業経営者。広瀬元義社長は「新サービスを機に、これから起業しようとする人の支援に力を入れていきたい」と語る。
--開発の背景は
「多くの会計事務所では、年商規模が一定以上の企業を対象にサービスを提供していたが、そのマーケットは縮小傾向にある。一方、年商1億円以下の中小企業は数多く存在し、起業家が増えていることもあって市場が増加傾向にあるからだ」
--中小企業の経営者の会計に対する認識度は
「例えばラーメン店は、ラーメンが好きな人が開業する。ただ、経営者になれば作るだけでは済まない。仕入れ原価や家賃、人件費をどうするのかといった、会計の領域に気を使う必要がある。それなのにお金に対する意識があまりにも低く、何とかなるだろうといった感覚で起業する人も少なくない。事実、中小企業の7割は経理担当者が0~1人。支出を抑えたいため顧問契約に消極的で、約5割の企業が会計専門家による指導を受けていないのが現状だ。こうした課題を解決するため、今回の会計サービスを開発した」
--サービスの概要は
「コンセプトは経営者目線。簿記知識を前提としない入力操作で、ユーザーの知識不足を補うサポート機能を搭載している。また、全国約200カ所で店舗展開している税理士の全国チェーン『Q-TAX』などと共同で開発したため、人為的なミス防止や節税について、専門家のチェックポイントを機能に反映している。各取引ごとに質問できるQ&A機能を活用すれば、顧問税理士とのコミュニケーションも可能だ。料金は個人事業主が月額980円など。今後1年間で10万件のユーザー獲得を目指す」
--導入後には、どういったメリットを享受できるのか
「日本の起業率は先進国の中でも低い。倒産するとなかなか元には戻れないのが理由だ。こうした事態を防ぐためには、会計という武器を味方につけなければならず、クルーは有力なツールとなる。経営者は、リーズナブルな価格で専門家による経理・会計・税務サポートを受けることができるようになるからだ。一方、会計事務所にとっては、これまで接点を持ちにくかった経営者層と関係を構築できるというメリットが生じる」(伊藤俊祐)
【プロフィル】
広瀬元義 ひろせ・もとよし 1988年にアックスコンサルティングを設立し、現職。年間50回以上の講師をこなすほか、著書も多数。60歳。大分県出身。
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【会社概要】
アックスコンサルティング
▽本社=東京都渋谷区恵比寿1-19-15 ウノサワ東急ビル3F
▽設立=1988年8月
▽資本金=9000万円
▽スタッフ数=90人
▽事業内容=会計事務所の支援
「フジサンケイビジネスアイ」