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NDA締結前に機密情報を聞いてしまったら?取引先との会話で注意したい情報管理

#法律・法務

NDA締結前に機密情報を聞いてしまったら?取引先との会話で注意したい情報管理
企業同士の商談や経営相談では、正式な契約を締結する前から、さまざまな情報が共有されることがあります。例えば、「新規事業の構想」「開発中の技術」「財務状況」「取引先との関係」「M&Aや事業承継の検討状況」「人事や組織に関する課題」など、本来であれば社外に知られたくない内容が話題になることも珍しくありません。しかし、その時点ではまだ機密保持契約(NDA)を締結していないケースもあります。「契約を結んでいないから自由に扱ってもよいのか」答えは決してそうではありません。たとえ契約がなくても、相手との信頼関係を守るためには、機密情報の可能性がある情報を慎重に取り扱う姿勢が求められます。本記事では、NDA締結前に機密性の高い情報を聞いた場合の考え方と、企業として取るべき対応について解説します。

    NDAがない状態でも機密情報は共有される

    商談や相談は、多くの場合、「まず話を聞く」ことから始まります。
    そのため、
    ・「実は新規事業を検討している」
    ・「会社を売却することも考えている」
    ・「資金繰りが厳しくなっている」
    ・「競合にはまだ知られていない技術がある」
    など、相手が重要な情報を話し始めることがあります。
    特に経営者同士の会話では、信頼関係を前提に本音が語られる場面も少なくありません。そのため、契約がないからといって、「秘密ではない」と判断するのは危険です。

    契約がないから責任がないわけではない

    NDAを締結していない場合、契約上の秘密保持義務は明確ではありません。
    しかし、だからといって、
    ・他人に話す
    ・社内で自由に共有する
    ・別の商談に利用する
    といった行為が適切とは言えません。
    企業間取引では、「相手から預かった情報を誠実に扱う」という姿勢そのものが信頼につながります。一度でも情報管理に不安を持たれれば、その後の取引にも影響する可能性があります。

    「これは機密情報ですか」を確認する

    会話の中で、「これは重要な情報ではないか」と感じた場合は、相手に確認することも大切です。
    例えば、「この内容は社内限りで取り扱う認識でよろしいでしょうか。」「この件については、機密情報として取り扱った方がよろしいでしょうか。」と一言確認するだけでも、お互いの認識を合わせることができます。
    相手に安心感を与えるだけでなく、後々のトラブル防止にもつながります。

    社内共有は必要最小限にする

    相談を受けた内容を社内で共有する必要がある場合でも、共有範囲は必要最小限に留めることが重要です。
    例えば、
    ・プロジェクト担当者
    ・経営陣
    ・必要な専門家
    など、本当に必要な人だけが情報を知る体制を意識しましょう。
    「参考までに」「念のため」という理由で広く共有することは避けるべきです。

    記録やデータ管理にも注意する

    聞いた内容をメモに残したり、データとして保存したりすることもあります。
    その際には、
    ・保存場所
    ・アクセス権限
    ・持ち出し制限
    などを意識することが重要です。
    機密性が高い情報であれば、一般資料と同じ場所で管理するのではなく、適切なアクセス管理を行うことが望ましいでしょう。

    NDAは「できるだけ早い段階」で締結する

    本来であれば、機密情報が共有される前にNDAを締結することが理想です。
    しかし、現実には相談が先に始まってしまうこともあります。その場合は、できるだけ早い段階で、「今後のお話を進めるにあたり、機密保持契約を締結させていただければと思います。」と提案することが望ましいでしょう。
    相手にとっても安心して相談できる環境になります。

    NDAには「過去に開示した情報」も含める

    NDAを締結する際には、契約締結後の情報だけではなく、契約締結前に開示された情報も対象に含める内容にしておくと安心です。
    例えば、「本契約締結前に開示された秘密情報についても、本契約の対象とする。」
    という内容を盛り込むことで、既に話した内容も保護対象にできます。実務上、このような条項を設けるケースも少なくありません。

    情報を「利用しない」という判断も重要

    相談を受けた内容が、自社の別案件や他社案件にも活用できそうだと感じることがあるかもしれません。
    しかし、相手の了承なく、その情報を営業活動や企画立案などに利用することは慎重に考えるべきです。
    「契約違反ではないから」ではなく、「相手との信頼関係を守れるか」という視点が重要です。

    情報管理が企業の信用をつくる

    近年は、情報漏えいだけではなく、「この会社なら安心して相談できる」という信用そのものが企業価値になっています。
    だからこそ、契約書だけに頼るのではなく、日頃から情報管理の意識を持つことが大切です。
    社員一人ひとりが、
    ・情報を慎重に扱う
    ・不要な共有をしない
    ・判断に迷ったら確認する
    という文化を持つことが、企業全体の信頼につながります。

    まとめ

    商談や経営相談では、NDAを締結する前から重要な情報が共有されることがあります。
    そのような場合は、
    ・契約がないから自由に扱えると考えない
    ・機密情報の可能性を意識する
    ・必要に応じて相手に確認する
    ・社内共有は必要最小限にする
    ・できるだけ早い段階でNDAを締結する
    ことが重要です。
    情報管理とは、法律を守るためだけではありません。相手との信頼を守るための企業姿勢でもあります。その積み重ねが、「安心して相談できる会社」という評価につながっていくでしょう。

    編集局の声

    企業間の取引では、契約を締結する前から重要な情報が共有されることがあります。特に経営者同士の相談では、事業戦略や経営課題など、機密性の高い内容が自然と話題になることも少なくありません。そのような場面では、「契約がないから問題ない」という考え方ではなく、「信頼を預かっている」という意識を持つことが大切です。情報の取り扱い一つで、その後の取引や企業の信用が大きく左右されることもあります。NDAは情報を守るための重要な契約ですが、それ以上に重要なのは、相手の立場を尊重し、誠実に情報を扱う企業文化です。安心して相談できる企業であることが、長期的な信頼関係と新たなビジネスにつながるのではないでしょうか。

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