【プレスリリース】
原油増進回収法(EOR):ケミカル攻法は5億ドル市場、カナダと中東が導入増加を牽引(ラックスリサーチ調べ)
薬品配合の改良により、原油回収率は70%まで増加、原油価格高騰が経済性確保につながり、また世界的な生産量減少により再度注目が集まる
2014年7月24日 – 先端技術を専門とする米調査会社ラックスリサーチ(本社:米国ボストン)の調べによると、ケミカル攻法による原油増進回収法(EOR)は、原油価格高騰や薬品配合の改良、分析技術の進歩などにより昨今再度注目が集まっており、特にカナダや中東が世界的な導入拡大を牽引していることが分かりました。同市場はすでに5億ドル規模となっています。
通常の原油採取方法では原始埋蔵量の40%程度のみが採取できるとされていますが、EOR技術の導入により最高70%まで回収可能です。世界的に石油需要が増加する一方で生産量は減少しており、また原油価格の高騰により経済性が確保可能となったことから、昨今EOR技術へ再度注目が集まっています。
ラックスリサーチのアナリスト、ダニエル・チョイは、『石油産業における事業環境の変化がケミカル攻法市場の成長を牽引 (“New Age of Oil Drives Growth of Chemical Enhanced Oil Recovery”)』と題したレポートにて次のように指摘しています。
『ケミカル攻法利用による回収はEOR利用による回収全体の10分の1程度にすぎませんが、他の攻法が利用できない場所では有効な手段となります。また市場の変化やケミカル攻法プロセスの改善などを受け、経済性も確保できるようになりました。』
ラックスリサーチではケミカル攻法によるEORについて技術的進歩、および世界的な導入状況を調査しました。以下が調査結果の一部です。
• アルカリ界面活性剤ポリマー攻法が最も導入されているものの各油田での実行可能性が最適な技術特定には重要。油井はそれぞれ特徴があるため、EOR導入には実験室での解析調査に加え、試験導入の実施が不可欠となります。どの油田でも利用可能なベストな方法というのはなく、各油田での実行可能性が技術採用における最も重要な決定要因となります。しかしながら回収量が原始埋蔵量の25%と高く比較的低価格であることから、最も導入されているのはアルカリ界面活性剤ポリマー(ASP)攻法です。
• 中東、カナダの油田での導入に注目が集まる。ケミカル攻法は主に北米やアジアが主要市場であり、1985年以降、試験導入の76%、全面的な導入の96%を占めます。しかし、世界のトップ20の油田のうち57%において生産量が減少している中、ケミカル攻法によるEOR導入が世界的に広がりつつあります。主要プロジェクトとしてはオマーンのマルムル油田、アラブ首長国連邦・アブダビのアブアルブクーシュ油田、アンゴラのダリア油田、マレーシアのアングシ油田が挙げられます。カナダでは2007年に試験導入ラッシュが見られ、現在全面的な導入件数で過去最高となっています。
• Ultimate EOR社、TouGas社が特に有望。Surtek 社は25カ国で80以上の試験導入に利用されており、ケミカル攻法向け化学品サプライヤを目指す企業にとっては強力な提携先です。Stepan社とNalco社のジョイントベンチャーであるTiorco社は、水攻法向けのBrightWaterナノテクノロジーや高分子ゲルなどの幅広い商品を持つ以外に、ビジネスエグゼキューションの点からも特に高く評価できます。スタートアップ企業としては界面活性剤の調合で特許を持ち、またユニークなライセンシングビジネスモデルを採用するUltimate EOR 社、 Ultimate EOR 社は しています。TouGas 社は業界でまだ対応する商品がないニーズに応える可能性を持つ答える高分子材を開発しているTouGas 社などが特に有望です。
『石油産業における事業環境の変化がケミカル攻法市場の成長を牽引(“New Age of Oil Drives Growth of Chemical Enhanced Oil Recovery”)』はラックスリサーチの『資源探査・生産』インテリジェンスサービスにて提供しております。