辻・本郷 ITコンサルティング株式会社 代表取締役社長   黒仁田 健氏

一気通貫で中堅・中小企業の課題解決 厚い信頼関係が強み

DXに関するプラットフォーム事業を手掛ける辻・本郷 ITコンサルティングは、M&Aなどを活用しながら組織を拡大し、中堅・中小企業からのどんな相談にも一気通貫で応えられる体制を整えてきた。第2創業と位置付ける2021年9月期から同社を率いる黒仁田健社長は、「顧客にとってより良い決断はHOW TO(どうやるか)ではなくWHO TO(誰に任せるか)で決まる。そのためには相談相手として最初に浮かぶ顔にならなければいけない」と語る。多様な専門人材を結集し、顧客との厚い信頼関係を築くことで、直面する経営課題を解消するトータルソリューションカンパニーを目指す。

――事業概要は
母体は辻・本郷 税理士法人であり、多様な顧客ニーズに応えるためグループ化を進めてきた。その中でIT・DX・BPOを担う当社は、企業経営やバックオフィス部門の課題をワンストップで解消するDXパートナーとして、売り上げ向上や人材確保・育成、管理部門強化といった企業が抱える課題の解決に尽力する。
そのための3つのドメインを用意している。業務改革、法令対応、システム選定やセキュリティ対策の支援などを提供する「コンサルティング」(25年9月期の売上高比率16%)、システム開発やソフト・ハードの販売などを担当する「テクノロジー」(同52%)、会計・経理業務や人事・労務業務などを担う「オペレーション」(同32%)だ。顧客にとって最適なソリューションを提供するため、これらを組み合わせて提案できる点も強みといえる。
――顧客の悩みにワンストップで対応できる背景は
中堅・中小企業経営者が抱える多様な課題に対し、DX視点でのワンストップ提供ニーズを強く感じていた。こうした企業の課題に網羅的に対応できるコンサルティング会社は少ない。そこで、一気通貫でサービスを提供できる体制整備に乗り出した。活用したのがM&Aだ。22年に相続ITベンチャーのbetterと合併しエンジニアリソースを獲得。24年には伊藤忠商事と資本業務提携し国内外の広範なネットワークを得た。またECサイトのコロニーインタラクティブを子会社化し、セールスマーケティング支援事業を拡張した。
――業容の拡大について
22年9月期から売り上げが急拡大している。同期に3億2800万円だった売り上げは25年9月期に21億2400万円に達した。25年12月には東証スタンダードに上場し、26年9月期は29億1300万円の売り上げを見込む。業績に応じて人員も増え、社長就任時は10人程度だったが、現状は200人規模になった。大手コンサル企業から「中堅・中小企業の手触り感を味わいたい」と転職してきたコンサルタントも多い。このほか会計事務所など士業やSaaS(インターネット上で利用できるソフトウェア)ベンダーの出身者も少なくない。人材は多様化しており、規模に応じてマネジメントも変えている。優秀な人材一人一人の強みを生かすため、正社員採用の面接には必ず私自身が出席する。こうして組織のカルチャーも醸成されてきた。
――顧客から支持される理由は
辻・本郷グループが長年に渡って築き上げてきた中小企業との信頼関係を土台に、中小企業のニーズに合った最適なソリューションをマーケットインの思想で提供しているからだ。伊藤忠から声が掛かったのも、我々が毎月のように顧客である経営者と会って相談を受けるというグリップ(掌握)力を認めてくれたからである。3つのドメインが機能しているため、課題に応じて最適なソリューションを提供できる。そのため顧客と継続的につながっていける。顧客への貢献価値は高いと自負する。
――それが「WHO TO」という考え方か
顧問税理士とのつながりを生かし、彼らを通じて相談を持ち掛けられたら、弊社内の専門人材から適任者を紹介する。「無数の選択肢から、より良い決断に導く」という私たちの使命につながる。今は情報があふれており、それだけ選択肢も多い。どれが最適か悩む顧客は「お薦めは何か」と問う。我々は特定の製品やサービスに縛られない独立した立ち位置であるため、顧客にとって最適なものを中立な立場で選択して提案できる。
そこで私たちが実現するものに据えたのが「専門家のノウハウを新たな次元で再構築する」だ。縦割り集団になりがちな専門家を「つながり」にするためである。組織として専門家を束ね、課題解決に当たらないと最適解は導き出せない。このため多様な高度専門家をさらに集めたい。ちなみに私たちが大切にする価値観は「心あるプロフェッショナル」で、“with”の精神、“better”の追求などを掲げている。
――今後の課題は
売り上げの一桁アップを目指しており、現状の20億円規模を200億円に引き上げるスピードを意識している。オーガニック(自社成長)とM&A(外部成長)をバランスさせながら達成したい。これにより中堅・中小企業が直面する課題を包括的に解消できる、トータルソリューションカンパニーとなる。

黒仁田 健 (くろにた・けん)
辻・本郷 ITコンサルティング株式会社 代表取締役社長

税理士。2002年法政大学卒業。2003年辻・本郷 税理士法人に入社。

2014年経営企画室室長に就任し、会計事務所のM&Aを実践するとともに、地域密着を目指した会計事務所の開設を行うほか、現場と管理部門の経験を活かし、教育研修の責任者も務める。

2020年シニアパートナーに就任。 2021年辻・本郷 ITコンサルティング株式会社の代表取締役社長に就任。趣味は散歩、プロレス(主に1980年~90年代)

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