第76回 かわさき起業家オーディションの受賞者
新規創業または新分野への進出を前提としたビジネスアイデアの実現を支援する「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第76回最終選考会が、3月10日に川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で開催された。
全国から寄せられた10件の応募の中から、1次書類審査および2次面接審査を通過した4社がビジネスアイデアを披露。時代に合わせたシンプルな葬儀ブランド「火葬のダビアス」を全国展開する神奈川こすもす(川崎市川崎区)代表取締役の清水宏明氏が、極めて高い成長性・収益性が見込めるビジネスアイデアに贈られる「かわさき起業家大賞」に輝いた。
「かわさき起業家大賞」に輝いた神奈川こすもす代表取締役の清水宏明氏
同オーディションはほぼ2カ月に1回行われており、今回が平成23年度最後の最終選考会。今年度に開催された6回の中で、大賞を受賞したのは同社を含めて2社という狭き門。
清水氏によれば「多死社会」を迎えた日本では、高齢者の死亡が増加する一方で、葬儀の小規模化が進んでいる。そこで同社が注目したのが、宗教儀礼は行わず、近親者のみで火葬を行う「直葬」というシンプルな葬儀スタイル。「明日荼毘に付す」ことから、ブランド名を「ダビアス」と名付けた。
「価格破壊的なサービス提供はしない」ことが同社の方針。火葬に機能を特化することで付加価値をつけ、葬儀価格における全国平均の約10分の1という低価格でも質の高いサービスを提供する。慣習やしきたりにとらわれず、自由な葬送を行うことを重視し、「故人の大好きな音楽を流してあげたい」などの要望にも応える。「低価格帯の葬儀サービスをきちんとブランド化することで、既存価格帯のサービスを守る」(清水氏)戦略が背景にある。
現在、同じ志を持つ葬儀社のネットワーク構築を進めており、ボランタリーチェーンとして全国展開中。人口カバー率80パーセントおよび年間1万件の受注達成が目標。清水氏は「業界の健全な発展のために、外圧ではなく内圧でイノベーションを起こしたい」と、思いを語った。
大賞に次ぐ「かわさき起業家優秀賞」を受賞したのは、ココラル・インターナショナル(川崎市川崎区)代表取締役の石田進氏。同社は「口腔ケア」を心身の健康維持の起点と位置付け、口腔ケア製品の開発および効果的な口腔ケアの方法の提案等を行っている。石田氏は、ココアパウダーを配合した自然由来成分の歯磨き剤「ココデント」の製品展開について発表した。
同製品はテレビ等のメディアにも取り上げられ、従来のホームページ通販に加え、今年1月からは東急ハンズでも商品の取り扱いが始まっている。
同オーディションは「川崎発で将来の成長産業の芽を育てていく」(川崎市産業振興財団・曾禰(そね)純一郎理事長)ことを目的に、2001年秋にスタートした。法人だけでなく個人も参加でき、応募資格に所在地や国籍等の制限はない。この10年間で全国から1500件以上のビジネスアイデアの募集があり、受賞者も700人を超えている。
「新事業、新産業の創出は、産業の街である川崎市の産業政策の大きな柱。その具体的な取り組みとして、当オーディションを今後もしっかりと育て、内容を充実させていきたい」と曾禰理事長は述べた。
【主催者賞受賞者】
かわさき起業家大賞
神奈川こすもす 清水宏明氏
かわさき起業家優秀賞
ココラル・インターナショナル 石田進氏
かわさきビジネスアイデア・シーズ賞
エムシステム・ソリューションズ 彌勒地(みろくじ)功氏
叶屋商店 北原浩康氏(発表者:クルーズ由美子氏)
「フジサンケイビジネスアイ」