ユニコーン 安田次郎代表取締役
日本で5社目となる株式投資型クラウドファンディング(CF)サービスを手掛けるユニコーンが始動した。第1号案件として7月22~28日、運営するCFサイト「Unicorn」に公開したスポットツアー(東京都千代田区)の調達額は上限の5750万円に達した。安田次郎代表取締役は「滑り出しとしては上々。ユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上と評価される未上場ベンチャー企業)を育てるのが目標。このため志が高い起業家を支援する」と意気込みを示した。
第1号案件の結果について
「開始から13分で上限の5750万円に達した。非常に高い評価を得たと理解している。スポットツアーの魅力はもちろんだが、当社への期待も加味されていると思う。想定を超えた速さでの目標金額達成は、株式投資型CFに対する投資家の期待の高さでもあり、その期待に応えるため全力を上げる」
他の株式投資型CF運営会社との違いは
「私もそうだが取締役6人中3人が国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)出身で、資本市場周りの仕事を手掛けてきた。IPO(新規株式公開)やファイナンス(資金調達)の経験は豊富で、目利き力も備える。さまざまな人的ネットワークも持っており、プロ集団として他の株式投資型CFプラットフォーマー(運営会社)と明らかに差別化できる。支援したベンチャーの成長を見てほしい。それだけ自信を持って投資家に薦めている」
ユニコーン企業にどうやって育てる
「ベンチャーの資金調達を手伝うだけでなく、その資金を使ってどうやって成長するかを手助けする。つまりユニコーン育成に向けたアドバイスもわれわれの役割で、資金調達や資本政策に加え、優秀な人材の採用や人事制度の整備、事務所移転など経営課題や要望に応える。われわれだけでは対応できなければ、連携している士業などがサポートに行く。こうした『企業成長丸ごとサポート』で経営者の悩みを解決する」
「未上場企業の株式なので(株式などを取引する)セカンダリーマーケットがない。つまり投資資金を回収する機会(エグジット)がないわけで、こうした不満を解消するため、資金調達企業に年1回の株主還元を求める。BtoC企業なら自社製品を送ればいい。株式投資型CFのベースは応援であり共感だ。株主(投資家)といい関係をつくらないとサポーターになってくれない」
今後の展開は
「スポットツアーに続く2、3号案件は焦ることなく、きっちりと選んで公開する。今期(2019年11月期)は月1、2件、来期は3、4件、再来期は6件ペースでベンチャーの資金調達を支援していく。われわれとしても3~5年先のIPOを目指す。株式投資型CFだけでは難しいので、融資型CFなど商品ラインアップを広げていく。そのために他社と組んでもいい」
ユニコーンを起業した理由は
「2012年にいったん金融界から離れたが、15年5月に株式投資型CFが解禁されたとき国際証券の後輩が誘ってくれた。ベンチャーが育たないと日本経済は地盤沈下するとの危機感を持っていたので『やろう』と話に乗った。株式投資型CFは日本を変える可能性があると感じたし、経験も生かせる。米中が席巻しているユニコーン企業を日本で育てたい。楽しみな企業はあるので、われわれの目利き力が問われる」
【プロフィル】
安田次郎 やすだ・じろう
学習院大法学部卒。1990年国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。外資系証券などを経てユニコーン立ち上げに参画。2019年2月から代表取締役。53歳。東京都出身。
【会社概要】
ユニコーン
▽本社=東京都港区元赤坂1-7-18KIZUNAEAST
▽設立=2015年12月28日
▽資本金=1億4600万円(資本準備金を含む)
▽従業員数=12人
▽事業内容=株式投資型クラウドファンディングプラットフォームの運営、企業サポート・アウトソーシングサービスなど
「フジサンケイビジネスアイ」