スキャネットの小池隆彦社長
教育機関などに向けてスキャナーで読み取るマークシートや関連製品を企画開発するスキャネットは、選択式テストの手書き文字を自動認識して採点する新製品「デジらく採点2」を7月に発売する。ソフトウエア費用ゼロと導入しやすく、採点作業を大幅に効率化できることから教育現場の働き方改革実現ツールとして浸透を図る。小池隆彦社長はこの技術を応用した製品を「企業や官公庁にも普及させたい」と話す。
--新製品の特徴は
「手書き文字を自動認識できる。複数の選択肢から正解を選び解答欄にカタカナやアルファベット、数字の1文字を記入する答えを読み取るテストの場合、従来は手書き文字の採点を手作業で行っていた。自動化で20~30倍効率化できる」
--ビジネスモデルは
「マークシートの解答用紙を市販のスキャナーで読み取って、自動採点する製品で、ソフトウエアは無料。専用用紙1箱1000枚単位を約1万円で購入すれば導入できる。広く普及させるため初期の費用負担を軽くしている」
--既存製品とどう違うのか
「市場で主力となっている光学式マークシート読み取り機(OMR)用は100万円以上もする機器で、教育現場には普及していない。当社はもともと画像処理が得意なソフトウエア開発会社だったため、スキャナー方式を開発した。2009年ごろからスキャナーが安くなって普及が進み、当社のマークシートが急激に売れ始めた」
--導入メリットは
「採点などの成績処理が簡素化されて、教員の業務負担が大幅に減ることだ。教員現場では、残業や自宅業務の多さによる過労死が社会問題となっている。とくに成績処理は最も負担が重い業務とされ、効率化や簡素化への要望が強い」
--この技術を、他の分野にも応用するのか
「当社のスキャナー式マークシートの普及率は、1割にも満たないと推計している。しかしここ数年、毎年売り上げが1割ずつ増加している。将来は長文にも対応させて、民間企業や官公庁などにも導入を働きかけていく。司法試験などの自動採点も実現させたい。OMRの更新時期に、スキャナー式への切り替えを促してシェアを広げることを目指している」
【プロフィル】小池隆彦
こいけ・たかひこ 大阪電気通信大卒。JBCC(日本ビジネスコンピューター)入社。1978年日本オールシステムズ(現・弥生)を設立。98年ネットシステムズ(現・スキャネット)を立ち上げ、現職。71歳。大阪府出身。
【会社概要】スキャネット
▽本社=東京都千代田区神田三崎町2-6-2 スキャネットビル
▽設立=1998年12月
▽資本金=9800万円
▽従業員=25人
▽事業内容=マークシート製品の開発販売
「フジサンケイビジネスアイ」