【35歳からの転職ウラ事情】(5)役職者の中途入社成功、3つの理由

□ルーセントドアーズ社長・黒田真行氏

  「先日入社いただいた○○さんですが、あっという間にウチになじんでくれてますよ。しかも、従来の事業運営にのみ込まれずに、堅実な改善案で極めてソフトに変革を起こしてくれています。古株社員からの評判も上々です」

弊社が採用をお手伝いした中堅衣料品メーカーに、営業部長として入社された44歳のAさんについて、社長からいただいた言葉です。「この人が来てくれて会社が変わった」という言葉は、人と企業のご縁をつなぐわれわれのようなエージェントにとってはもちろん、入社されたご本人にとっても最高にうれしい褒め言葉です。Aさんご本人も、「社長の期待を強く感じられて、なんとか応えたいと思ってがんばっています」と意欲にあふれていていました。

  Aさんの前職は、大手商社の営業マン。経営不振の影響もあり、3年前に課長からヒラ社員に降格され、給与も年々下がっている状況での転職でした。30代までは優秀な業績をあげていたスーパー営業マンで、冷静にマーケットを分析して戦略立案し、組織をまとめる力量を持っておられました。

この実力を武器に、ちょうど将来の経営人材を探していた衣料品メーカーの社長に会っていただきました。とんとん拍子に話が盛り上がり、実はもう少し若手の人材をイメージしていた社長も、ぜひAさんに補佐してもらいたいということに。しかも社長の期待を背負って、いきなりの営業部長ポスト。年収も600万円台から800万円台という予想外の大逆転転職でした。

では、Aさんの転職が成功した理由は何だったのか? それには3つの理由がありました。

(1)キャリアの汎用(はんよう)的価値

最大のポイントは営業職としての確かな実績。機械商社とアパレルメーカーでは、商品も顧客も営業手法もまったく異なりますが、マーケットを分析し、顧客ニーズを探る方法を確立されていたため、異業界でも通用するスキルとなっていました。

(2)ヒューマンスキル

役職者の中途入社は、どうしても周囲からの目線は厳しくなるもの。そこを乗り越えて人間関係の調和がとれるかどうかは、ミドル転職の最大の壁。その点、Aさんの傾聴力や対人コミュニケーション力は完璧でした。

(3)謙虚さ・素直さ

年齢に関係なく、謙虚さや素直さは、経験やスキルをしのぐ最強のマインドセットです。

たった一つの事例ですが、Aさんの転職には、ミドル転職を成功させるエッセンスが詰まっていました。

                   ◇

【プロフィル】黒田真行

くろだ・まさゆき 1989年リクルート入社。約30年にわたり転職・中途採用サービスの企画に関わる。2006年から8年間「リクナビNEXT」編集長。14年にルーセントドアーズを設立し、日本初のミドル向け転職サービス「Career Release40」(http://lucentdoors.co.jp/cr40/index.html)を提供している。

「フジサンケイビジネスアイ」

 
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