ソフトブレーン・サービス株式会社 取締役会長 一般財団法人 プロセスマネジメント財団 理事 小松 弘明
「東日本大震災」に関しお見舞い申し上げます。また、今回の地震・津波により亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
弊社のお客様で、仙台市内にあるミカド電装商事の代表取締役、沢田元一朗氏とのやりとりをご紹介したい。その訳は、彼の『明るさ』『冷静さ』『寛容さ』に、被災者ではない私が逆に勇気づけられることになったからだ。
先日、携帯電話で近況を報告し合った。従業員も全員無事で、会社も中心部にあり相対的に被害は少ないそうだ。さぞやご苦労されているだろうと、いろいろお聞かせ頂くと、以外にも次のようなお話が聞けた。停電のある晩、古い石油ストーブを倉庫から出し、一家でカレーを食べたそうだ。「私達は恵まれています」「4時間煮込むことになったので、すごくおいしかったですよ。少し備蓄はあるので大丈夫です」とさらりと話された。私が首都圏の買い占めの状況に憤慨すると、「仕方ないですよ、人の心理は…」と冷静な一言。さらに「安全・安心が確保できない中で、人を責めても無意味ですよ」と。
とても被災者としての言葉はそこにはない。国難と大げさに騒ぐのではなく、目前の状況を受けとめながら、逃げずに、一歩一歩前に進む勇気。これこそが『底力』だと目がしらが熱くなった。
日本が一丸になってというのは簡単だが、今は、各々がそれぞれに置かれている状況に応じて『底力』を発揮する段階だ。日本は、経済大国といわれるが、支えるのは90%以上を占める中小企業だ。地域を支え、第起用を支える中小企業の力があってこそ日本であることを再認識して頂きたい。沢田さんのような経営者がいる限り、日本は大丈夫だ。どんな時代にも国難はある。その都度『明るさ』『冷静さ』『寛容さ』を武器に乗り越えてきたはずだ。「今の日本の底力はこうだ!」と発信したい。
We, Japanese are living each moment!(我々は、今を大切に生きています!)
(フジサンケイビジネスアイ)