8月6日、川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で「かわさき起業家オーディション ビジネスアイ・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/) の第72回最終選考会が開催された。今年8月1日に公益財団法人に移行した川崎市産業振興財団が主催。
今回応募があった11件のうち、一次書類審査および二次面接審査を通過した4社が、各20分の持ち時間でビジネスアイデアを披露した。
きわめて高い成長性・収益性が見込める優秀なプランに贈られるかわさき起業家大賞(川崎市長賞)に輝いたのは、東京都西東京市に本社を置くN a j I L a w (ネジロー)の道脇裕社長。自身が開発した「完全な緩み止めと繰り返し使用可能なねじ」である「L / Rネジファミリー」の事業化につい展望を語った。
同社が開発した「L / Rネジ」は、らせん状の溝を持たない特殊な構造で、右ねじナットと左ねじナットの両方を同ボルト上に締結し、機械的に結合する。ボルトに左右どちらの回転力が作用しても、両ナットに反対方向の力が加わり、お互いの動きを抑えるため、ねじの緩みをなくすことができるという。
締めつけ位置でナット同士を結合し、着脱できないようにするパーマネント・ロックタイプ、任意の位置で固定・着脱が可能なリムーバブル・ロックタイプなどのバリエーションがあります。摩擦力を高める機構を設けるのではなく機械構造的に、ねじの宿命である緩みを抑える同社技術の独創性が高く評価された。「ねじ一本の緩みが尊い人命を脅かすことがある。これをこの世界から根絶することがN a j I L a wの使命だと自負しています」と語る道脇氏。「L / Rネジ」を日本発の画期的な要素技術として、世界に普及させることが同社も夢だ。
また、健康福祉工学会(横浜市青葉区)とプランドゥーアイ(川崎市高津区)の2社が、かわさき起業家賞を受賞。 健康福祉工学会は、市販の車椅子に手軽に取り付けることができる「転倒防止用車椅子電動ブレーキシステム」を開発。車椅子の手動ブレーキをかけ忘れても自動的にブレーキがかかり、歩行困難な高齢者や障害者が転倒により負傷する事故を防ぐ。
プランドゥーアイは、粘残りせずにはがすことができ、繰り返し貼ることが可能な独自開発の両面テープを披露した。同テープと軽量の紙製ボードシートを組み合わせ、壁に何度も貼ったりはがしたりできるライティングシートの市場展開についてプランを語った。
同社は2009年にも同オーディションに出場しかわさき起業家賞を受賞している。今回が2度目の挑戦となった。 2001年にスタートしたかわさき起業家オーディションは、2カ月に1度をめどに開催されている。川崎市内に限らず、全国から広く参加者を募集しており、優秀なビジネスアイデアに対しては、販路拡大および資金調達の支援、ベンチャーキャピタリストやビジネスパートナーとの出会いの場の提供を始めとするサポートが行われる。
今回は下記企業が主催者賞を受賞した。
▽かわさき起業家大賞/株式会社N e j i L a w 脇道裕氏/かわさき起業家優秀賞/該当なし▽かわさき起業家賞/特定非営利活動法人健康福祉工学会 川島徳道氏/プランドゥーアイ株式会社 稲葉雅人氏▽かわさきビジネス・アイデアシーズ賞/株式会社テクノエクセル 小山田成聖氏
「フジサンケイビジネスアイ」