川崎市産業振興財団が主催する「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第71回最終選考会が、6月10日に川崎市産業振興会館で行われた。
同オーディションは2カ月に1度をめどに開催されており、川崎市内に限らず、全国から広く参加者を募集しているのが特徴。今回は、山口県山口市の木原製作所、東京都小平市のNPO法人みずなみ、同世田谷区のエクセルシアが、かわさき起業家優秀賞を受賞している。
食品・農林水産物用乾燥機などの製造販売を手がける木原製作所の木原康博社長は、「乾燥機市場の新規開拓」と題してプレゼンを行った。同社は、業界最古参のメーカーとして葉たばこ乾燥機の開発に携わり、2012年に創業110年を迎える。
独自技術の「乾湿球制御循環乾燥方式」で空気の温度と乾燥物の温度を調整しながら、さまざまな素材の色・艶・香りを損なわずに自動・低燃費で乾燥が可能。乾燥加工による農山漁村の6次産業化支援を通じて地域産業振興への貢献を目指すほか、食品会社の新製品開発および食品加工で生じる副産物のリサイクル、漢方薬原料の乾燥など新たな需要の掘り起こしをはかる。
また成川米穀(川崎市)の成川亮治社長は、玄米の栄養分を損なわずに、軟らかく、短時間で白米と同じように炊飯できる「無洗米やわらか玄米」について発表。
独自製法で、玄米表面を覆う薄いセルロース層を「剥く」ように除去するため、軟らかく甘みのある食感が得られる。玄米でありながら、硬さや吸水条件が白米に近いため、白米にブレンドしておいしく食べられるという手軽さや、市場での競争力が評価された。同社はかわさき起業家賞のほか、日本起業家協会賞、川崎商工会議所会頭賞などの関係団体賞4賞に加え、来場者の投票による会場応援賞を受賞した。
各企業のプレゼンに続き、経済産業省の経済産業政策局・新規産業室で企画官を務める柿原宏充氏が、「ベンチャー企業を取り巻く環境と支援策」をテーマに基調講演を行った。柿原氏は、総合商社および商社・素材メーカーの合弁会社に勤務したのち、2009年に官民交流で経済産業省に入省した経歴の持ち主。現在、ベンチャー企業の成長支援、既存企業のイノベーション・活性化に向けた政策立案を行っている柿原氏みずからが、同省の進めるベンチャー支援策について解説した。
2001年11月に第1回最終選考会が開催された同オーディションは、今年で10年目を迎える。これまでの累計応募数は1500件を超え、うち約500件が最終選考を経て表彰されている。今年度は6月10日開催の第71回最終選考会に加え、8月、10月、12月、12年2月および3月の計6回を予定。12月20日開催の第74回最終選考会では、従来のオーディションに加えて、10周年を記念するパネルディスカッションなどが行われるという。同財団の曽禰純一郎理事長は「この10年間を総括し、また次の展望を語り合う場にしていきたい」と述べた。今回の主催者賞の受賞者は次の通り。
▽かわさき起業家優秀賞/株式会社木原製作所 木原康博氏/特定非営利活動法人みずなみ 吉川雅章氏/株式会社エクセルシア 足立寛一氏▽かわさき起業家賞/亜多加プランニング株式会社 古河正己氏/株式会社ミライエ 島田義久氏/株式会社成川米穀 成川亮治氏▽かわさきビジネス・アイデアシーズ賞/インフィニテグラ株式会社 清水喜弘氏
「フジサンケイビジネスアイ」