■レポート概要
1. 要旨
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本レポートは、2019年から2024年までの日本におけるノートパソコン市場の実績をもとに、2025年の推計値および2030年までの中長期予測を行ったものです。リモートワークの拡大やオンライン授業の定着、eスポーツ市場の成長、さらにはハイパフォーマンス機種への需要増加といった複数要因により、2024年の市場規模は約99億米ドルに達しました。今後も、テレワーク定着によるビジネス用途需要の安定化、ゲーミング・クリエイター向け高性能モデルの拡大、教育分野での1人1台端末整備が市場を下支えし、2030年には約125億米ドル規模に成長すると予測されます。年平均成長率(CAGR)は約3.3%と見込まれ、成熟市場ながら着実な拡大が続く見通しです。
2. 市場概要
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日本のノートパソコン市場は大きく「タイプ別」「用途別」「価格帯別」「画面サイズ別」に区分できます。タイプ別では従来型クラムシェル(伝統型)と、タブレットライクに変形可能な2-in-1タイプが主流です。用途別ではビジネス、パーソナル、ゲーミング、教育向けが主要セグメントとなり、教育分野では全国の小中高におけるGIGAスクール構想による端末整備が市場拡大を支えています。価格帯別ではエントリーモデル(~500米ドル)、ミドルレンジ(501~1,000米ドル)、ハイエンド(1,001米ドル以上)に分かれ、エントリーとハイエンドの両極化が顕著です。画面サイズ別には11~13インチ、14~15インチ、16インチ以上の大画面モデルがあり、モバイル性重視か作業性重視かで選好が分かれています。
3. 市場ダイナミクス
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本市場を牽引する主な要因は以下の通りです。
• リモートワーク・オンライン授業の定着:コロナ禍を契機に広がった在宅勤務や遠隔教育需要が継続し、法人・教育機関向けの安定受注を実現しています。
• eスポーツ・クリエイティブ市場の拡大:高リフレッシュレート対応ディスプレイや外部GPU搭載モデルなど、ゲーミングおよび動画編集・3DCG制作向けのハイスペック機種の需要が急増しています。
• 技術革新とバッテリー性能向上:薄型軽量化技術や高性能プロセッサ(Intel Core/AMD Ryzen)、高速ストレージ(NVMe SSD)、長時間駆動バッテリーの普及により、作業効率と利便性が向上し、市場全体の魅力を高めています。
• サプライチェーンの安定化:半導体不足や物流制限といった一時的な供給制約は緩和傾向にあり、安定的な製品調達が可能となっています。一方で、為替変動や資源価格の上昇リスクは引き続き留意が必要です。
4. セグメント別動向
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タイプ別動向
• 伝統型クラムシェル:一般ユーザーやビジネス用途で依然として主流。堅牢性とコストパフォーマンスに優れ、法人向け標準機としての採用が多い。
• 2-in-1/コンバーチブル:平板モードやタブレットモードへの切り替えが可能で、プレゼンテーションやストリートノート活用、クリエイティブ用途で支持。教育市場でも採用が拡大しています。
画面サイズ別動向
• 11~13インチ:軽量・小型モデルとして携帯性重視ユーザーに人気。出張・モバイルワーク需要を牽引。
• 14~15インチ:バランス重視型。ビジネス・教育用途で最も市場シェアが高く、幅広い価格帯でラインナップ。
• 16インチ以上:大画面+高解像度モデル。ゲーミングや映像編集、CADなど高い作業性を求めるプロフェッショナル向けに成長が顕著。
価格帯別動向
• エントリーモデル(~500米ドル):教育市場およびライトユーザー向けに高いコスト競争力を発揮。
• ミドルレンジ(501~1,000米ドル):法人や一般ユーザーのメインストリーム。機能と価格のバランスで最も出荷台数が多い。
• ハイエンド(1,001米ドル以上):ゲーミング、コンテンツ制作、クリエイター向け。高性能CPU/GPUや4Kディスプレイ搭載モデルが主流。
5. 用途別動向
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• ビジネス用途:テレワークの定着により、セキュリティ機能(指紋認証、TPMチップ)、シンクライアント対応、統合管理ソリューション対応モデルの需要が堅調です。
• パーソナル用途:軽量・デザイン重視機種や、タッチパネル対応2-in-1のようなエンターテインメント用途向けが好評です。
• ゲーミング用途:高リフレッシュレート液晶、外部GPUオプション、冷却性能強化など、eスポーツ普及に伴う需要増が続いています。
• 教育用途:公立学校を中心にGIGAスクール構想による1人1台端末整備が進み、納入規模は年間数十万台規模に及びます。
6. エンドユーザー・地域別動向
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• 法人:大手企業の本社・支社、政府・自治体、金融機関などが中心。セキュリティ・サポート体制を重視し、国内メーカー製品の採用が高い。
• 教育機関:小中高・大学・専門学校など幅広く、学校法人向けに専用サポートプログラムを提供する事業者がシェアを握っています。
• 個人消費者:ECサイト・家電量販店経由での購入が主流。レビュー評価やオンライン情報を参考にした購買行動が定着。
• 地域別:関東圏が市場の約40%を占め、関西・中部・九州と続きます。地方自治体によるICT推進プロジェクトの動向が地域別需要に影響します。
7. 競合環境・主要企業分析
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市場には国内大手メーカーとグローバルOEMが混在し、製品差別化戦略を展開しています。主要企業は以下の通りです。
• Dynabook(旧東芝):法人向けセキュリティ・サポートの強み。
• 富士通(LIFEBOOK):国内品質とサポート体制で法人・教育市場をリード。
• NEC(VersaPro/LAVIE):省電力性能とコスト競争力を両立。
• Panasonic(Let’s note):堅牢性・耐久性に優れ、モバイルワーカーに人気。
• Lenovo:ThinkPadシリーズで法人市場を席巻、価格帯も幅広い。
• HP/Dell:グローバルサポート網を活かし、大企業向け提案力に強み。
• Apple:MacBook Air/ProのUS配信システムとクリエイター支持で市場シェア拡大中。
各社とも、新製品投入タイミングの最適化、法人向けバンドルサービス、チャネルパートナー戦略、サブスクリプションモデルの導入など、多様な競争戦略を駆使してシェア争いを繰り広げています。
8. 調査方法
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本レポートは、二次情報と一次情報を融合したハイブリッド調査手法を採用しています。
• 二次情報:経済産業省、総務省、JEITA(電子情報技術産業協会)など公的統計、主要PCメーカーの年次報告書、業界団体公開資料、プレスリリースを網羅的に収集・分析。
• 一次情報:PCメーカー、主要販売代理店、システムインテグレーター、教育機関・企業のIT部門などへのインタビュー(構造化・半構造化)を実施し、製品調達動向、価格設定、顧客ニーズを取得。
収集データはクロスチェックと統計モデルによる市場規模推計に組み込み、高精度な2019~2030年の予測を算出しています。
9. 対象読者とレポート構成
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本レポートは、PCメーカーの経営企画・製品開発部門、ITベンダー・SIer、流通小売企業、教育機関・行政機関、投資家・コンサルタントなど、多様なステークホルダーを対象としています。業務改革・DX推進、新製品戦略立案、投資判断、市場参入計画などにご活用いただけます。
全78ページ構成で、以下の章立てに沿って詳細分析を展開しています。
1. 要旨
2. 市場概要・定義・前提条件
3. 市場ダイナミクス
4. セグメント分析(タイプ・画面サイズ・価格帯別)
5. 用途別分析
6. エンドユーザー・地域別分析
7. 競合環境と主要企業プロファイル
8. 調査方法論
9. 機会評価と戦略的提言
■目次
1. 第1章 レポート概要
1.1 調査背景と目的(日本におけるノートパソコン市場の成長要因、DX推進・テレワーク拡大による需要喚起)
1.2 レポートの対象範囲(製品カテゴリ区分、価格帯別セグメント、用途別(ビジネス/コンシューマ/ゲーミング)、調査対象期間)
1.3 調査期間および更新スケジュール(一次調査実施時期、二次データ更新頻度、次回改訂時期予定)
1.4 用語定義(Ultrabook、Chromebook、2in1、ゲーミングモデル、エントリー/ミドル/ハイエンドの定義整理)
1.5 レポート構成の概要(各章とサブセクションの相互関連性、読み進めガイドライン)
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2. 第2章 調査手法
2.1 定量調査(一次データ:メーカー出荷統計、量販店・EC販売実績データ、二次データ:公的統計、業界資料)
2.2 定性調査(キーパーソンインタビュー:主要メーカー営業部門、販売店バイヤー、IT導入コンサルタント)
2.3 市場規模算出モデル(出荷台数・売上高モデル構築方法、CAGR算定・感度分析手法)
2.4 データ検証プロセス(クロスチェック、第三者レビュー、誤差範囲設定と補正手法)
2.5 調査体制・協力機関(社内専門チーム、外部リサーチ機関一覧、共同研究機関紹介)
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3. 第3章 ノートパソコンの定義および製品分類
3.1 ノートパソコンの技術的定義(フォームファクタ、搭載CPU・GPU、ポート構成)
3.2 エントリーモデル/ミドルレンジ/プレミアムモデルの基準(価格レンジ、性能要件)
3.3 調査対象製品カテゴリ(Ultrabook、Chromebook、ゲーミングノート、ワークステーション、2in1タブレットPC)
3.4 形状別分類(クラムシェル型、コンバーチブル型、セパラブル型)
3.5 OS別シェア(Windows 11/Windows 10、Chrome OS、MacBook(macOS))
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4. 第4章 世界市場概況
4.1 世界市場の歴史的推移(過去10年間の出荷台数・売上高トレンドと市場成熟度)
4.2 地域別市場シェア(北米、欧州、アジア太平洋、南米、中東・アフリカの比較分析)
4.3 主要国別動向(米国、中国、ドイツ、日本などにおける業界構造・消費者嗜好の違い)
4.4 グローバルな競争環境(主要メーカーシェア、OEM/ODMプレイヤー動向、ファブレスモデルの台頭)
4.5 国際貿易動向(輸出入量推移、関税・物流コストの影響、新興国参入障壁)
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5. 第5章 日本市場概況
5.1 国内出荷台数・売上高推移(過去5年の推移と直近四半期の動向)
5.2 販売チャネル別動向(量販店、オンライン直販、ECモール、BtoB向けルート)
5.3 価格帯別構成比(エントリー~ハイエンド各レンジの需要比率とCAGR)
5.4 OS別普及率(Windowsモデル、Chromebook、MacBook のシェア推移と要因分析)
5.5 主要地域別市場特徴(首都圏、大阪圏、地方都市における購入傾向と顧客属性)
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6. 第6章 需要動向分析
6.1 用途別需要(ビジネス用途、家庭用・リモートワーク、学生向け、ゲーミング用途)
6.2 導入企業数・台数動向(大手企業、中堅・中小企業のIT投資状況)
6.3 消費者購買行動(購買決定要因、ブランドロイヤルティ、価格感度調査)
6.4 テレワーク・オンライン学習の影響(リプレイス需要、サブスクリプションモデルの採用)
6.5 ESN/BYODトレンド(自主調達モデルと企業支給モデルの増加傾向とセキュリティ対応)
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7. 第7章 製品タイプ別市場分析
7.1 Ultrabook市場
7.1.1 市場規模・成長率(過去5年・今後5年の予測CAGR)
7.1.2 主なユーザーセグメント(ビジネスパーソン、学生、モバイルワーカー)
7.2 Chromebook市場
7.2.1 教育機関導入動向(学校ICT化施策、クラウド運用メリット分析)
7.2.2 家庭利用状況(低価格帯の普及率、ユーザー満足度調査)
7.3 ゲーミングノート市場
7.3.1 主要搭載GPU別シェア(NVIDIA RTXシリーズ、AMD Radeonシリーズの競合)
7.3.2 周辺機器・アクセサリ需要(高リフレッシュレートディスプレイ、冷却パッド等)
7.4 2in1/タブレットPC市場(着脱型・360度回転型の利用シーンと導入実績)
7.5 モバイルワークステーション市場(CAD/CG制作用途の高性能ノート需要)
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8. 第8章 技術動向および製品開発
8.1 CPU・SoC技術の進化(Intel Alder Lake、AMD Ryzenモバイル、Apple Mシリーズの特徴比較)
8.2 GPU・AIアクセラレータ搭載モデル(ディープラーニング推論向け機能強化の動向)
8.3 ディスプレイ技術(OLED、Mini-LED、リフレッシュレート、タッチ対応のトレンド)
8.4 バッテリー・充電技術(急速充電、長時間駆動、バッテリーセル革新技術)
8.5 軽量化・堅牢化設計(マグネシウム合金シャーシ、耐衝撃・防滴性能の標準化動向)
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9. 第9章 競合環境分析
9.1 主要メーカーシェア(国内外OEM/ブランド別出荷台数・売上高ランキング)
9.2 企業戦略比較
9.2.1 製品ポートフォリオ展開(ラインナップ幅・深度、差別化ポイント)
9.2.2 販売・サポート戦略(直販モデル、アフターサービス、保証プラン)
9.3 ポーターの5フォース分析(新規参入脅威、代替機器の影響、買い手・売り手交渉力)
9.4 SWOT分析(市場機会と脅威、主要プレイヤーの強み・弱み整理)
9.5 競争優位性要因(コスト競争力、技術力、ブランド認知度、販売チャネル網)
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10. 第10章 価格動向分析
10.1 過去5年間の平均販売価格推移(エントリー~ハイエンド別の価格トレンド)
10.2 原材料コスト構造(半導体、ディスプレイ、バッテリー等主要コスト要因分析)
10.3 為替変動影響(円ドルレート推移と輸入モデル価格への波及効果)
10.4 価格予測モデル(需給予測・コスト構造を基にした将来価格シミュレーション)
10.5 プロモーション戦略(値引きキャンペーン、バンドル販売、サブスク価格の増加傾向)
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11. 第11章 販売チャネル・流通構造
11.1 リテールチャネル(家電量販店、専門店、量販チェーンの販売構造とマージン)
11.2 オンラインチャネル(メーカー直販サイト、ECモール、サブスクサービス)
11.3 BtoBチャネル(SIer経由、IT商社、レンタル/リース事業者の役割)
11.4 中古機流通市場(再生PC業者、市場規模、買い取り・販売価格動向)
11.5 サブスクリプションモデル(PC as a Service普及状況、契約形態・解約率分析)
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12. 第12章 法規制・政策動向
12.1 電気・電子機器リサイクル法(PCリサイクル義務、リサイクルルートの変遷)
12.2 情報セキュリティ規制(個人情報保護法、企業セキュリティ要件の強化)
12.3 テレワーク支援策(政府補助金、IT導入補助金制度の活用状況)
12.4 環境規制(RoHS、国際的排出ガス規制に伴う製品設計対応)
12.5 技術標準化動向(USB-C PD、Wi-Fi 6E/7、Bluetooth最新版対応の標準化)
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13. 第13章 主要企業プロファイル
13.1 企業A(ブランド戦略、製品ラインナップ、業績推移、研究開発体制)
13.2 企業B(ゲーミングブランド強化、コラボレーションモデル、ユーザーコミュニティ戦略)
13.3 企業C(Chromebook専業、教育機関向け導入支援サービス、クラウド連携機能)
13.4 企業D(Apple MacBookシリーズ、エコシステム戦略、サブスクリプションサービス展開)
13.5 新興ベンチャー・ODM企業(薄型軽量モデル、革新的素材・デザインの研究開発動向)
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14. 第14章 市場予測
14.1 2025年度~2030年度の出荷台数・売上高予測(ベースケース、上振れ・下振れシナリオ)
14.2 カテゴリ別予測(Ultrabook、ゲーミング、Chromebook、2in1のセグメント別需要見通し)
14.3 用途別予測(ビジネス/家庭/教育/ゲーミング用途別の市場成長予測)
14.4 チャネル別予測(リテール、オンライン、サブスクモデル別導入見通し)
14.5 ドライバー・抑制要因シナリオ(半導体需給動向、マクロ経済情勢、働き方改革の進展)
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15. 第15章 附録
15.1 用語集(本レポートで使用する専門用語・略語を50音順に整理)
15.2 調査協力機関一覧(データ提供元、インタビュー協力先、リサーチパートナー)
15.3 図表一覧(全掲載図版・表番号と簡易説明の一覧)
15.4 データ集(主要統計データ、企業別出荷台数・シェア一覧、EC販売ランキング)
15.5 著作権および免責事項(本レポートの利用条件、転載・複製禁止事項)
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■レポートの詳細内容・販売サイト
https://www.marketresearch.co.jp/bona5ja-0109-japan-laptop-market-overview/