【プレスリリース】
自動運転車市場動向:
2030年までに870億ドル市場へと拡大、一方で完全自動運転車の市場投入は更に先になる見込み(ラックスリサーチ調べ)
自動運転車の92%はアダプティブクルーズコントロールのような簡単な運転者補助システムを搭載するのみ。特にソフトウェア開発者への事業機会が最大。
2014年5月22日 – 先端技術を専門とする米系調査会社ラックスリサーチ(本社:米国ボストン)の調べによると、自動車メーカーや技術開発者による自動運転車市場への参入により、同市場は2030年までに870億ドル規模の市場へと成長する見込みであり、特にソフトウェア開発者への事業機会が最大であることが分かりました。一方で、運転手を必要としない完全な自動運転車の市場投入は更に先となる見込みです。
<グラフ:自動運転車市場を裏で支えるソフトウェア企業への事業機会が最大>
自動運転車市場では、 アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警告、衝突被害軽減ブレーキなどの機能を搭載した『レベル2』自動運転車が92%を占め、グーグルやメルセデスベンツが紹介したように高画質の特別の地図を搭載するなどより先進性の高い『レベル3』自動運転車の市場シェアは8%と限定的なシェアを占める見込みです。完全に自動運転をする『レベル4』自動運転車の市場投入は見られません。
ラックスリサーチのアナリスト、コズミン・ラズラウは、『自動操縦分野で収益化を目指す:870億ドルの自動運転車市場での事業機会模索(“Set Autopilot for Profits: Capitalizing on the $87 Billion Self-driving Car Opportunity.”)』にて、次のように指摘しています。
『自動運転車市場のバリューチェーンは確立しつつあり、自動車産業への新規参入が相次いでいます。センサー機器を専門とするVelodyne Lidar社はこれまでにない解像度の商品を開発しており、またソフトウェア、ビッグデータ分野の大手であるIBMとグーグルは戦略提携を実施し、地図、コネクティビティ分野からはノキアやシスコが参入しています。』
ラックスリサーチでは自動運転車市場拡大に貢献しうる関連技術の分析を行いました。以下が調査結果の一部です。
米国や欧州を中国市場が超える。自動運転車分野における事業機会は当初米国、欧州に集中するものの、2030年までには中国が最大の市場となり、240億ドル市場に成長し、販売台数では1億2000万台規模、世界シェアでは35%を占める見込みです。米国市場は210億ドル、欧州は20億ドル規模の市場へと成長します。
差別化戦略の要はソフトウェア。自動運転車市場でのソフトウェア分野の事業機会は現在の5億ドル規模から2020年までには100億ドル、2030年までには250億ドル規模へと大幅に拡大する見込みであり、グーグルやIBMなどの大手がすでに参入しています。自動車メーカーにとって差別化の要はソフトウェアとなり、安全性確保にも重要となります。
完全な自動運転車の普及は更に先のこととなる。運転者を必要としない完全自動運転車への注目が集まっていますが、2030年までには完全自動運転車の市場投入はないと考えられます。最も楽観的なシナリオにおいても、技術面でのブレークスルーにより『レベル4』自動運転車の市場投入が開始され、2030年までに25万台販売されるという内容です。
『自動操縦分野で収益化を目指す:870億ドルの自動運転車市場での事業機会模索(“Set Autopilot for Profits: Capitalizing on the $87 Billion Self-driving Car Opportunity.”)』はラックスリサーチの『自律システム2.0』インテリジェンスサービスにて提供しております。