【プレスリリース】
先進素材:中国の研究開発機関がグラフェンおよびカーボンナノチューブにおける研究開発のトップに
世界トップクラスの教育機関の存在と中国政府による助成金により研究が活発化する一方で世界的な供給過多への懸念が高まる
(ラックスリサーチ調べ)
※Lux Innovation Grid 画像付き
2014年4月29日 – 世界トップクラスの教育機関の存在に加え、政府による政策面での優遇や助成金により、中国はグラフェンおよびカーボンナノチューブ(CNT)分野における研究論文出版数や特許取得数で世界トップとなっています。また、先端技術を専門とする米系調査会社ラックスリサーチ(本社:米国ボストン)が実施した調査によると、商用化の面でもCNT製造量は世界のトップレベルと肩を並べる規模を達成していることが分かりました。一方で、グラフェンサプライヤは世界競争に遅れをとっています。
中国国内のグラフェンおよびCNT市場はそれぞれ2,240万ドルと4,840万ドル規模であり、リチウムイオン電池に加え、コーティング分野、放熱部品などの新たなアプリケーション分野の成長に主に後押しされています。しかしながら、中国系企業による製造量の増加は世界的な供給過多を悪化させ、価格や利益率に大きな影響をもたらすことが懸念されています。
ラックスリサーチのアナリスト、Zhun Maは、『供給過多の中から炭素の宝石を特定する:中国のカーボンナノチューブおよびグラフェン市場の分析 (“Fishing for Carbon Gems in a Vast Sea of Oversupply: Assessing China's Carbon Nanotube and Graphene Landscape.”』と題したレポートにて、次のように指摘しています。
『2006年から2010年にかけ、中国政府の第11次5カ年計画にて、ナノテクノロジー分野における助成金は3倍の50億人民元に達し、近年同分野における研究が非常に活発化してきました。中国のグラフェンやCNT分野の企業はコスト面、性能面などが多様化しており、提携先としても多様な価値の提供が可能です。』
ラックスリサーチではグラフェンおよびCNT分野における中国系企業の調査を行いました。以下が調査結果の一部です。
- CNano社、Timesnano社が中国におけるCNTトップ企業。コスト優位性、確立された顧客ネットワーク、また継続的な資金確保などの点から鑑みると、CNano社およびTimesnano社が中国でのCNTの最大手サプライヤです。両社による製造拡大により、中国企業による世界市場におけるシェア比率は30%から50%へと増加することが予測されます。
- 中国のグラフェンサプライヤは技術面で世界トップ企業に劣る。昨年11月の段階で、中国はグラフェンナノプレートレット製造量は米国を超えました。The Sixth Element社および Ningbo Marsh社が最大手サプライヤです。しかしながらラックスリサーチの評価によると中国のグラフェンサプライヤは技術面で劣ることがわかりました。
- 中国はグラフェンナノプレートレット分野の特許数では世界トップ。中国系研究機関はグラフェンおよびCNT分野における特許の保有数では世界首位です。世界的にも水準が高い教育機関が存在し、グラフェン分野の研究論文出版数および特許数は米国を超えています。CNTにおいても研究論文出版数は世界首位、特許数は世界2位となっています。
『供給過多の中から炭素の宝石を特定する:中国のカーボンナノチューブおよびグラフェン市場の分析 (“Fishing for Carbon Gems in a Vast Sea of Oversupply: Assessing China's Carbon Nanotube and Graphene Landscape”)』レポートはラックスリサーチの『中国イノベーション』インテリジェンスサービスにて提供しております。