経皮吸収型デリバリー技術は新たなヒット商品を生み出す
81の臨床治験が実施されており、経皮貼付剤によるデリバリーは10年以内に年間売上で60億ドル市場へと到達見込み
2014年3月26日 – プラットフォーム技術の進化や高齢化に後押しされ、経皮吸収型デリバリーへ注目が集まっています。先端技術を専門とする米系調査会社のラックスリサーチ(本社:米国ボストン)の調べによると、経皮吸収型の医薬品やワクチンの売上は10年以内に60億ドル規模まで増加することが分かりました。
経皮貼付剤(パッチ)は利便性が高く、また安価である点や薬物の送達管理が容易であることなどから長い間注目されてきたものの、過去30年間ではたった16商品のみでしか利用されていない、いわばニッチ市場でした。しかし、現在ではワクチン投与、薬物送達、バイオフィードバック機能など、幅広い分野にて81の臨床治験が実施されています。
ラックスリサーチのリサーチディレクター、ケビン・パンは、『経皮吸収型デリバリー技術の成長 (“Skin in the Game: The Coming Rise of Transdermals”)』と題したレポートにて、次のように指摘しています。
『経皮貼付剤(パッチ)の特徴は一定の有効成分の投与が可能である点で、慢性疾患の治療に有用です。また、通常の医薬品に見られるような効力のピークとその後の減少を回避できることから、パーキンソン病、うつ病などの神経性疾患への治療にも効果的です。』
ラックスリサーチでは、経皮吸収型デリバリー市場動向を調査し、最新技術の分析および評価を実施しました。以下が調査結果の一部です。
• 高齢化および最新技術が重要なエネーブラーとなる。高齢化社会においては、利用が簡単である点や、複数の慢性疾患への治療に際し、投薬管理や安全性への配慮が重要となります。新たな経皮貼付剤(パッチ)は既存商品よりも性能面でも優れ、機能性が高いのが特徴です。
• パーキンソン病向けの経皮貼付剤(パッチ)が売上増加に大きく貢献。先日承認が降りたUCB社のパーキンソン病向けロチゴチンパッチは、利便性や一次治療における薬物送達面で優れている点が評価され、2020年までに米国・欧州合わせて5億ドル規模の売上を達成する見込みです。
• 偏頭痛治療薬はヒット商品に。Nupathe社によるZetia スマトリプタンパッチは既存技術に電気泳動を追加することで、より効率よく一定に血液内に有効成分を送達することが可能となり、慢性的な偏頭痛の治療薬として2020年までに米国・欧州にて10億ドル規模の売上を達成する見込みです。
『経皮吸収型デリバリー技術の成長 (“Skin in the Game: The Coming Rise of Transdermals”)』レポートはラックスリサーチの『食品・栄養』インテリジェンスサービスにて提供しております。