中小企業にとって“命取り”となりかねないのが取引先の倒産だ。常々心しているつもりでも、予期できない要因で取引先の経営が突然悪化し、売掛金を回収できなくなるケースが後を絶たない。そんなときの備えとなるのが「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」だ。
中小企業の連鎖倒産を防ぐため法律に基づいて1978年に発足した制度で、国が全額出資する中小機構が運営している。いざというときに迅速に資金調達できる“命綱”として、今年3月末時点で約31万社が加入しており、共済金の貸し付けは累計約27万件、約1兆8000億円にのぼる。
加入資格は、中小企業基本法が規定する中小企業で、引き続き1年以上事業を行っている企業。掛け金は月額5000円から20万円までの範囲で5000円刻みで選べ、総額800万円に達するまで積み立てられる。掛け金は税法上、個人事業の場合は事業所得の必要経費、法人の場合は損金に算入できる。
万一、取引先が倒産して回収困難な売掛金債権などが発生すると、積み立てた掛け金総額の10倍または被害額のどちらか少ない金額で、8000万円を上限に貸し付けを受けられる。この「共済金貸付け」は無担保・無保証人で、貸付金額に応じて5~7年(当初6カ月の据え置き期間を含む)で毎月均等返済する仕組みだ。
このほかに、臨時の事業資金が必要になったときに、解約手当金の範囲内で借りられる「一時貸付け」もある。
取引先の「私的整理」や「災害による不渡り」「特定非常災害による支払い不能」についても「倒産」として認められている。詳しくはホームページ(http://www.smrj.go.jp/tkyosai/)で。(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
「フジサンケイビジネスアイ」