「中小機構のアドバイスを得ながら進めた会社設立準備は、決して平坦(へいたん)な道程ではありませんでしたが、アドバイスのおかげで工業団地との契約・建設につながり、コストも抑えられた」-。海外初となる工場をベトナムで新設するのに成功した富山のワイヤハーネスメーカーのトップはこう語る。
中小機構には、中小企業の経営者にぜひ知って、活用してもらいたい制度が多いのだが、「中小企業国際化支援アドバイス制度」もその一つだ。なにしろ、海外ビジネスに関する個別企業の具体的な相談に対し、経験豊富な専門家が“無料”で、しかも納得ゆくまで“何度でも”相談に応じるので、使わない手はない。1981年から実施しており、利用者から高い評価を得ているサービスだ。
アドバイスする専門家は、常設型の「シニアアドバイザー」約20人と「登録型アドバイザー」約360人。いずれも、総合商社などで海外ビジネスの実務知識・経験・ノウハウを積み重ねてきたエキスパート揃いで、国別に分担しているシニアアドバイザーが、相談に応じる仕組みだ。内容によっては、登録型アドバイザーの中から最適な人材を選定し、アドバイスに同席させることもある。
初めての国への工場進出や海外販路開拓といった案件だけでなく、海外からの撤退のための相談まで引き受ける。また、継続的にアドバイスをしている企業を対象に、アドバイザーが海外現地に同行して情報収集や調査をサポートする「現地同行アドバイス制度」(一部有料)もある。
ただし、本制度は、中小企業の国際化に関する課題の解決や意思決定を側面から支援する公的サービス。アドバイスの内容は、当事者である企業の責任で活用してもらうことが前提となり、特定の取引先の紹介や交渉の仲立ちは行っていない。
詳細と申し込み方法は公式サイト(http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/advice/index.html)で。(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
「フジサンケイビジネスアイ」