【専門医にきく!】マスク下の肌荒れ、気になりませんか?
藤本智子 池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長 東京医科歯科大学 皮膚科臨床講師
そこで今回は、そんなみなさんへ、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長でもある藤本智子先生に対処法を含めお話をお伺いしました。
―マスクをする生活が2年半となりましたが、実際、肌荒れをしている患者さんは多いのですか―
『はい、マスクをしてない時に比べたら、ニキビや肌荒れを起こしている患者さんは増えました。実は、マスクの中というのは、脂も増えるし、乾燥もしているという状態なんです。』
―え?マスクをしていると、保湿されている気がしていたのですが?―
『マスクをすると口の中の水蒸気がマスクの中に充満するので、その時点では保湿されているように感じますが、皮膚の中の角層がその水分を含んで、蒸れた状態になります。その状態でマスクをとると一気に乾燥して、皮膚の角層のバリアが乱れてしまうのです。汗も皮脂も出るので、毛穴が詰まってニキビが増えますし、バランスがくずれて、結果、肌のきめも壊れて荒れてしまうという人が多いのです。』
―どう対処したらよいのでしょうか?―
『まず、ご自身で使っているマスクの見直しです。マスクには沢山種類がありますよね。素材も不織布やウレタンなど色々ありますし、形もサイズも様々ですので、ご自身にあって無いマスクをしている人がいますから、自分の肌にあったものを選んでほしいです。同じ、不織布であってもメーカーによってはきめが違うといったこともありますから。
また、フィット感、マスクとの肌の距離感があった方がよいです。肌にマスクがこすれるのはよくありません。一日中マスクをつけながら喋ることが多いと思いますが、喋るたびにマスクの凹凸が頬骨に当たってしまうと、その部分ががさがさになってしまって、マスクをとると乾燥しているということになります。』
―シミも増えたような気がするのですが、マスクの影響でしょうか―
『そうですね。こすれると、色素沈着します。摩擦皮膚炎と言いますが、女性ですと、肝斑の方はさらにこすってしまうとシミは余計に濃くなってしまうので注意が必要です。
フィット感についてもその方にあったものをみつけてほしいのですが、装着の仕方もあると思います。一般的なマスクには上に金属が付いていますよね。その部分をきちんと鼻に沿って折り曲げてほしいです。ちゃんと山を折って、目の下のくぼみにいれて、頬骨には当たらないようにします。こうすると、眼鏡をしていても息がかからないので曇りません。そして、横の方は、少し開けて通気口にしたいです。
あと、もう一つ、あまり知らない方が多いのですが、一般的なマスクは紫外線を通します。よく、マスクをするからすっぴんで大丈夫という方がいますが、日焼け止めはしたほうが良いですね。』
―“自分にあったマスクの素材みつける”、“肌荒れを防ぐマスクの装着の仕方をする”、“マスクでも日焼け止めを塗る”ですね。心掛けたいと思います―
『マスク下は肌にとって、とても過酷な環境ですので、外せるタイミングはあれば、外すことをお勧めします。』
―わかりました!つづいて、藤本先生のご専門について教えていただけますか―
『はい、主に汗についての病気が専門です。生活に支障がでるくらい、汗を大量にかいてしまう“多汗症”や逆に汗をかけなくなってしまう“無汗症”です。現在は“無汗症”についての研究に関わっているのですが、コロナ禍で増えている病気です。』
―なぜ、コロナ禍で増えているのでしょうか?―
『今まで汗をかいていたのに、急に汗をかかなくなってしまう後天性無汗症の原因はいまだに不明なのですが、日常的に運動して汗をかいていた人がコロナで家に閉じこもってしまい運動しなくなってしまうと、汗腺の機能が落ちてしまって、全身から汗をかけなくなってしまうんです。汗がかけないということは、体内の熱を出すことができないので、暑い季節で外に出てしまうと熱中症になってしまう。ですから、家から出られない、、といった悪循環がうまれてしまうのです。原因も不明で難病に指定されていますが、どうして発症するのかについての研究が進められているところです。』
―治療法はあるのですか?―
『はい、まずは無汗症であるという診断が大切ですが、診断が確定したらステロイドパルスという点滴の治療が行われます。難治な方は他の薬剤を調整しながら生活改善を目指しています。』
―様々な面でコロナの影響はでているのですね。その他、コロナで増えている皮膚の病気はありますか―
『そうですね。消毒が原因で手荒れを起こしている患者さんが増えました。アルコールなどで消毒をし、さらに手洗いの機会も増えましたから、手が荒れるのは必然です。また、物を消毒する方も多いですよね。スプレー式の消毒を吹きかける。すると、その飛沫がご自身の顔にもかかってしまって肌荒れを起こしてしまうという方もいらっしゃいます。消毒は菌も殺しますが、ご自身の肌にも影響を及ぼしますので気をつけてほしいです。』
―どう対処したらよいでしょうか―
『消毒する成分の確認をしてみてください。自分の皮膚に反応しないものを選ぶことが大切です。まず消毒より皮膚に残らない手洗い方法ができればそちらがおススメですが、外出先などで不可能であれば、刺激のない消毒薬を携帯しましょう。手洗い、消毒後にはハンドクリームをセットで行うとよいです。また、物を消毒する際は、手袋やフェイスガードをするなどで肌を守りましょう。』
―最後に、藤本先生のコロナ禍でのストレス解消法を教えてください―
『お酒をやめたので(笑)クラフトコーラにハマっています!シナモンとかナツメグなどの生薬のシロップを強炭酸で割って飲むんです。漢方薬のような感じでカラダに良いコーラですね。美味しいですよ。
コロナとの暮らしはまだ続きそうですが、ストレスをためないということはやはり大切です。ストレスは肌の回復を遅らせますので、よい睡眠とストレス発散方法を見つけてください。』
藤本智子
池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長
東京医科歯科大学 皮膚科臨床講師
https://fukurou-hifuka.com/
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