銀座でシニア層向け起業支援を手掛ける銀座セカンドライフの片桐実央社長=東京都中央区
シニア向け起業支援を手がける銀座セカンドライフ(東京都中央区)。日本の総人口の25%が65歳以上(シニア層)という超高齢社会に入っているものの、高齢者が再就職できる雇用の場は非常に少ない。起業というと若年層のイメージが強いが、「シニア層はビジネスマンとして長年培った経験や能力、人脈が大きな財産。そのまま埋もれたままではもったいない」(片桐実央社長)と考え、2008年7月に起業した。
シニア向け起業支援事業の大きな柱はセミナーと起業支援施設だ。セミナーは事業計画書の書き方や補助金活用など15種類のテーマからなる。起業するにしても何をしたらよいのかわからない人も多い。片桐社長は「まずはご自身の棚卸しをしてください」と話す。これまでを振り返り、できる限り具体的なエピソードを数多く細かく書き留める。どんな仕事が向いているかを考えるヒントや自己PRの材料にもなる。
起業支援施設は、東京の銀座と日本橋、横浜に合計145席分のレンタルオフィスがある。年末年始以外、毎日使えるだけでなく、このレンタルオフィスを登記上の本社とすることもできる。すでに1000社以上が登録されており、いまも1日平均2社のペースで増えている。
片桐社長は大学卒業後、大手日用品メーカーの法務部に所属。新規の事業展開や取引の際に、法的な問題がないかを調べる仕事に携わる。ところが祖母がグループホームに入所し、なかなか介護ができない日々を過ごすうちに、第二の人生の重要性に気付く。「一生を通じて生きがいを感じる充実した生活を実現するための支援がしたい」と起業を決意。大手証券会社を経て、この会社を立ち上げた。
今後の展開について、来年には新宿にレンタルオフィスを設けるほか、大阪や福岡での新設も検討している。一方で「ビジネスマンをターゲットにした起業支援も考えたい」という。
シニア層の起業は若年層の起業にありがちな切迫感が少なく、自分の幸せや充実感を得るためといった自己実現を目的としたものが多い。無理をしない起業ということから、同社はシニア層の起業を「ゆる起業」と名付けた。「全国から起業に悩む人の相談が寄せられており、身近に相談できるアントレサロンへのニーズが高い」と考え、全国展開の可能性を模索する。(松村信仁)
◇【会社概要】銀座セカンドライフ
▽本社=東京都中央区銀座7-13-5 NREG銀座ビル1階
▽設立=2008年7月
▽資本金=1000万円
▽従業員数=7人
▽売上高=1億円(13年6月期)
▽事業内容=シニア向け起業支援、レンタルオフィス運営など
「フジサンケイビジネスアイ」